2型糖尿病は有酸素運動、筋トレ、またはその両方、どれが効果的か?
2型糖尿病の血糖コントロールに対する有酸素運動単独、およびレジスタンストレーニング(筋トレ)単独の効果、どちらも行った場合の効果、どれが効果的なのかは知っておきたいところかと思います。今回はこのテーマの研究を紹介したいと思います。
患者:39~70歳の2型糖尿病を有する成人251例。
介入:有酸素運動、レジスタンストレーニング、またはその両方の運動(複合運動トレーニング)。座りっぱなしの対照群も含まれる。運動トレーニングは週3回、22週間(試験開始5週目から26週目)実施された。
測定方法:主要アウトカムは、6ヵ月後のヘモグロビンA1c値の変化であった。副次的アウトカムは、体組成、血漿脂質値、および血圧の変化とした。
結果:対照群と比較した運動トレーニング併用群におけるヘモグロビンA1c値の変化の絶対値は、有酸素運動トレーニング群で-0.51%、レジスタンストレーニング群で-0.38%であった。
複合的な運動トレーニングにより、ヘモグロビンA1c値は有酸素トレーニング単独と比較して-0.46%、レジスタンストレーニング単独と比較して-0.59%追加変化させた。血圧と脂質値の変化には、群間で統計学的な有意差は認められなかった。有害事象は運動群でより多かった。
制限事項:運動プログラムの遵守度が低い患者に対する結果の一般化可能性は不明である。参加者は盲検化されておらず、運動トレーニングの総時間は有酸素運動群とレジスタンストレーニング群に比べ、複合運動群でより長かった。
結論:有酸素運動またはレジスタンストレーニングのどちらか一方のみでも2型糖尿病の血糖コントロールは改善されるが、有酸素運動とレジスタンストレーニングの併用で最も改善される。
両方のトレーニングを行った方が血糖コントロールはより改善しやすい結果でした。これは両方の運動を行う事により、総運動時間が長くなったのが影響していると思われます。時間を揃えたら、もしかしたら効果は変わらないかもしれません。また、被験者が盲検化されていなかった(どういう目的で試験をするのかを知っていた)ので、これが結果に影響を与えていると思われます。これは2007年の研究でした。
もう一つ研究を紹介します。こちらは先ほどのものより後の2010年の研究です。
背景:糖尿病患者の運動指針には有酸素運動とレジスタンストレーニングの両方が含まれているが、この運動の組み合わせについて直接的に検討した研究はほとんどない。
目的:2型糖尿病患者における有酸素運動単独、レジスタンストレーニング単独、および両者の組み合わせがヘモグロビンA(1c)(HbA(1c))に対してどのような効果をもたらすかを検討する。
デザイン、設定、参加者:2007年4月から2009年8月にかけて、ルイジアナ州の2型糖尿病でHbA(1c)値が6.5%以上の座りがちな男女262名を対象に、9ヶ月間の運動プログラムを実施した無作為化比較試験である。
介入:41名が非運動対照群に、73名が週3日のレジスタンストレーニング群に、72名が週12kcal/kgの有酸素運動群に、76名が週10kcal/kgの有酸素運動と週2回のレジスタンストレーニングの複合型に割り付けられた。主なアウトカム HbA(1c)値の変化。副次的アウトカムとして、人体計測と体力の測定が行われた。
結果:本研究では、女性63.0%、非白人47.3%の参加者が、平均(SD)年齢55.8歳(8.7歳)、ベースラインHbA(1c)値7.7%(1.0%)であった。
対照群と比較して、複合トレーニング運動群におけるHbA(1c)の絶対平均変化率は-0.34%であった。HbA(1c)の平均変化は,対照群と比較して,レジスタンストレーニング群(-0.16%)または有酸素運動群(-0.24%)いずれでも統計的に有意でなかった.
複合運動群のみが,対照群と比較して最大酸素消費量を改善した(平均,1.0 mL/kg/分).
すべての運動グループは、コントロールグループと比較して、ウエスト周囲径を-1.9~-2.8cm減少させた。レジスタンストレーニング群は、対照群と比較して平均-1.4kgの脂肪量を減少させ(-0.7~-2.0kg)、複合トレーニング群は平均-1.7kg(-1.1~ー2.3kg)であった。
結論:2型糖尿病患者において,有酸素運動とレジスタンストレーニングの併用は,運動なしの対照群と比較して,HbA(1c)値を改善した.これは有酸素運動またはレジスタンストレーニング単独では達成されなかった。
こちらの研究では、1種類のトレーニングでは血糖値の変化は統計的に有意な効果は無かった、両方行うと改善した、という結果でした。
やはり総運動量がポイントになっていそうな結果です。複合トレーニングが最も体脂肪量の減少が大きかったです。
まとめ
血糖の改善には出来るだけ運動する機会を増やした方がよさそうです。
とはいえ、筋トレも有酸素運動も多少なり血糖値を下げる効果はあると思われるので、時間が取れる限り運動を行った方が良いと言えるでしょう。また、運動だけで血糖値を改善させるのは時間もそれなりにかかるので、食事も併せて改善するようにすると、更に効果を高める事が出来ると考えられます。
参考文献
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パーソナルトレーナー 井上大輔
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