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  • 2022.09.03

リバウンドはなぜするのか?それは仕方のないことだ

頑張ってダイエットしたのに、普通の生活習慣に戻したら、気づいたら体重がダイエット前と同等かそれ以上になっていたという人は少なくないでしょう。減量後の体重の再増加は、肥満者が頻繁に直面する問題です。

この体重の再増加(リバウンド)は、しばしば適切な食習慣と運動の継続の欠如に起因するとされています。しかし、体重や脂肪量は、自発的な食事摂取や運動をはるかに超えた、多くの生理的メカニズムによって制御されていることが知られています。

そこで、本記事では、なぜリバウンドをするのか?、体重のリバウンドに関与する主なメカニズムについて簡単に説明します。

腸管ホルモン(様々な消化液の分泌を調整するホルモン)の分泌は、個人差によって体重増加の素因に影響を与えますが、食欲減退ホルモンの分泌低下食欲増加ホルモンの増加が認識されています。これらの変化は、食欲と食物の報酬価値を高めます。つまり、ものすごく食べたいと思うようになり、エネルギー摂取量を増加させることにつながります。

さらに、減量後の安静時エネルギー消費量は、身体組成の変化から予測されるよりも低いです。この減量後のエネルギー消費量と予測値のギャップは代謝的適応と呼ばれ、体重の再増加の一因であることが示唆されています。

このような複雑なシナリオは、ダイエッターのモチベーションを超え、肥満者の長期間の介入において体重リバウンドの課題を残します。

どう解決すればよいのかについて、①運動を継続して行う事、②摂取カロリーの設定を少なめに見積もる事、が考えられます。

①運動で消費を増やせば、食欲増進による摂取カロリー増加分を打ち消す事が出来ます。また、摂取した栄養が筋肉への貯蔵や筋肉の材料として使われやすくなるため、脂肪組織への貯蔵を緩和できる可能性があります。

②あらかじめ摂取カロリーの設定を小さく見積もる事で、おそらく小さくなっている安静時エネルギー消費量に合わせる形になります。しかしながら、食べたい欲が減るわけではないため、あくまでも目安にしかならない(対処法ではない)事に注意が必要です。

まとめ

  1. 体重の戻りは、患者のコンプライアンス不足という単純な問題ではない。
  2. 腸管ホルモン分泌量は、体重増加の原因に影響を与える。
  3. 代謝適応は減量後のエネルギー消費量の減少を説明する。
  4. 食欲の調節は、空腹感・満腹感と報酬価値の相互作用で成り立っている。

1.に示すように、ダイエッターがリバウンドしてしまうのは、その人が食生活習慣の維持を怠ったからという単純な問題ではないという事です。したがって、「自分はダメな奴だ」と自分を責める必要はありません。ダイエット後は、摂取カロリーが想定以上に増加してしまうこと、想像以上に安静時エネルギー消費量が少ないこと、という身体の自然な反応がリバウンドを引き起こすからです。

しかし、できればリバウンドはしたくないでしょう。

現時点での確実な解決策は『運動を継続する事』です。


参考文献

Mechanisms of weight regain.

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