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  • 2022.07.25

加圧トレーニングは効果がある?普通の筋力トレーニングとの比較


加圧トレーニングはいっときのブームに比べれば落ち着いた印象があります。とはいえ、無くなったわでけはなく一定の需要はあるのが現状です。

今回は『加圧トレーニングと普通の筋力トレーニングを比較して、効果と費用の面から考えて果たしてどちらを受けるのが合理的か?』を書いていきます。

結論からいうと、普通の筋力トレーニングを選択する方が合理的です。

では詳しくみていきましょう↓

加圧トレーニングとは?

加圧トレーニングについて調べると以下のように書かれています。

KAATSU®とは?

小型の自動コンプレッサーと伸縮自在の空気圧バンドで構成されており、腕や脚に巻いて使用します。

バンドは膨張・収縮し、最小限の努力で時間効率の良い方法で血行を促進し、ホルモンバランスを改善し、筋肉を発達させます。

あらゆる年齢層、フィットネスレベル、生活様式のユーザーに比類ないパフォーマンス、精度、安全性を提供し、いつでもどこでも使用できるため、より早い回復、より強いリハビリ、より良いパフォーマンスのために役立てることができます。

https://kaatsu.com

要約すると、四肢をバンドで締め付け、血流をコントロールしてホルモン分泌を促し、筋肉の成長を促す。といったものです。

よく見かける主張は『ホルモンバランスの改善による筋肉の発達』で、いかにも効きそうな文言です。一般の方々はこれを目当てに加圧トレーニングを受けるようになります。

加圧と普通の筋トレの比較

では、一般的な筋力トレーニング(マシンやダンベル・バーベルを用いたもの)と比べて効果はどのように変わるのでしょうか?

エビデンスレベルの最も高いメタアナリシスの研究をみてみましょう。

背景:加圧低負荷筋力トレーニング(1RMの50%未満 以下加圧トレーニング)は、筋力と筋量の増加を促進すると考えられてきた。しかし、これらの適応の大きさが、一般的な高負荷筋力トレーニング(> 65% 1RM 以下HRT)と同様であるかどうかは、依然として不明である。

目的:加圧トレーニングとHRTの筋適応に対する効果を、システマティックレビューとメタアナリシスの手順で比較すること。

方法:(一般の方が読むのは大変なので割愛します)

結果:筋力はHRTの方が高い増加を示した。筋肥大反応については、HRTと加圧トレーニングで同様の効果が得られた。

結論:本データに基づくと、最大筋力はHRTにより最適化される可能性がある。筋肉量の増加はHRTと加圧トレーニングはいずれも同様に有効であると思われる。重要なことは、加圧トレーニングは、幅広い年齢層と身体能力において、筋力増強のための有効かつ効果的なアプローチであるが、身体的制限のある人には、HRTに取り組む方が得である思われる。(1)

結果を見ると

  • 普通の筋トレは筋力と筋肥大に効果がある
  • 加圧トレーニングは筋肥大に効果がある

となります。

どちらも筋肥大の効果は変わらないので『ホルモンバランスの改善による筋肉の発達』は加圧トレーニング特有のものではなく、普通の筋トレでも起こります。

また、日常生活をしていく中で重要なのは”筋力”です。

買い物カゴなどのモノを持ち上げる、モノを運ぶ、階段や坂道を登るなどのように、普段生活していく中では筋力が要求される場面が多いです。

つまり、一般の方がトレーニングによってまず獲得したい能力は”筋力”なのです。

普通の筋トレは筋力と筋肥大の両方にポジティブな影響を与えるので、フィットネスクラブ/パーソナルジムと加圧トレーニングジムの両方を選べるシチュエーションなら迷わず『フィットネスクラブ/パーソナルジム』を選んだ方が良いです。

どんな人が加圧トレーニングを受けると良いのか?

加圧トレーニングに対して前向きではないことだけ述べて終わるのも寂しいので、どんな人なら加圧トレーニングを受けることを選択肢に入れると良いのでしょうか。

それは

  1. ケガや手術などで大きな力を発揮するのが困難
  2. 高血圧ではない方

この2つを満たす方は加圧トレーニングを受けても良いかなと考えて良いでしょう。ただ、普通の”筋力トレーニングでも上記2つを満たすお客様の対応はできる”ということは付け加えておきます。負荷を軽くすれば良いだけなので。

1.ケガや手術などで大きな力を発揮するのが困難

例えば『膝の靭帯を切って再建手術を行なって間もない』『骨折が治ってギブスを外して間もない』といった方は、重いバーベルやダンベルを扱うのが難しいでしょう。

しかし、ケガによって筋肉量は低下したので筋肉量は増やしたい。といったニーズが出てきます。

こういうケースでは『加圧して血流制限しながら軽いダンベルで筋肥大を狙う』のは手段の一つとしてアリでしょう。つまりリハビリの段階ということです。

しかし、リハビリも徐々に強度は上げていかねばなりません。ある程度、力の発揮ができるようになってきたら加圧を外して普通の筋トレに移行する必要があります。

2.高血圧ではない方

加圧トレーニングは一般的な筋力トレーニングと比較して、特に高血圧者において高い収縮期/拡張期血圧値が観察された。したがって、運動中の血圧コントロールが必要な場合、加圧トレーニングは慎重に処方する必要がある。(2)

高血圧の人が加圧トレーニングをすると血圧がかなり上がるので導入は慎重に、といった研究です。

ちなみに加圧トレーニングをやったことあるのでわかりますが、血管が破裂するんじゃないかレベルで浮き出ます。これを血圧に不安のある方が実施するのはリスクが大きすぎるでしょう。

したがって、リスクとリターンを考えれば”慎重に導入”ではなく”普通のトレーニング”に切り替えたほうが良いでしょう。加圧トレーニングを受ける条件として高血圧ではないのが大前提になります。

まとめ

加圧トレーニングと普通の筋力トレーニングの効果をエビデンスレベルの最も高い研究を見ながら、果たしてどちらが効果的か?をまとめました。

結論、フィットネスクラブやパーソナルジムで普通の筋トレをした方が恩恵が大きいです。

特に高血圧の人は加圧トレーニングは控えるようにしましょう。


参考文献

(1).Magnitude of Muscle Strength and Mass Adaptations Between High-Load Resistance Training Versus Low-Load Resistance Training Associated with Blood-Flow Restriction: A Systematic Review and Meta-Analysis

(2).Blood pressure response between resistance exercise with and without blood flow restriction: A systematic review and meta-analysis

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