「練習後30分以内」は古い?プロテイン摂取の優先順位を最新科学で解説
ジムでトレーニングをしていると、終わった瞬間に急いでシェイカーを振り始める方をよく見かけます。 いわゆる「ゴールデンタイム(トレーニング後30分以内のタンパク質摂取)」説ですね。
「ジムの更衣室でプロテインを飲むまでがトレーニング」
そう教わった方も多いのではないでしょうか? しかし、近年のスポーツ栄養学の研究では、この常識が少しずつ変わりつつあります。
今日は、世界中のトレーナーが参考にしている信頼性の高い研究論文を基に、「本当に筋肉がつくプロテインの飲み方」についてお話しします。
「ゴールデンタイム」にこだわりすぎる必要はない?
結論から申し上げますと、一般的に言われている「トレーニング直後に飲まないと効果がない」という説は、科学的にはそこまで強力な根拠がありません。
2013年、ブラッド・シェーンフェルド博士らが行った有名なメタ分析(複数の研究結果を統合して分析した、信頼度の高い研究)があります。この研究では、プロテインを摂取する「タイミング」が筋力や筋肥大に与える影響を調査しました。
その結果、驚くべき結論が導き出されました。
「極端な空腹状態でトレーニングをしていない限り、摂取タイミング自体が筋肥大に与える影響は小さい」
つまり、トレーニング直後に慌ててプロテインを流し込まなくても、その日の食事全体がしっかり管理できていれば、筋肉は十分に成長するということです。
最も重要なのは「1日の総摂取量」
では、タイミングよりも優先すべきなのは何でしょうか? それは「1日を通してどれだけのタンパク質を摂ったか(総摂取量)」です。
2018年にロバート・モートン博士らが発表した、1863名のデータを対象とした大規模なシステマティックレビューによると、筋トレをしている人が筋肥大を最大化するために必要なタンパク質量は以下の通りです。
体重1kgあたり 1.6g 〜 2.2g / 日
例えば、体重60kgの方であれば、1日に約96g〜132gのタンパク質が必要です。 これを満たしていなければ、いくらトレーニング直後にプロテインを飲んでも、材料不足で筋肉は大きくなりません。
【優先順位のまとめ】
-
最優先: 1日の総タンパク質量(体重×1.6g以上)を確保する
-
次点: 3〜4時間おきに分割して摂取し、血中アミノ酸濃度を維持する
-
最後: トレーニング前後のタイミングを意識する
まずは「量」を確保すること。ここがスタートラインです。
とはいえ、トレーニング後は飲まなくていいの?
「じゃあ、トレーニング後のプロテインは意味がないの?」というと、決してそうではありません。
トレーニング後は筋肉の合成感度が高まっている状態であることは事実です。また、トレーニング直後にプロテインを飲む習慣をつけることで、「飲み忘れ」を防ぎ、結果的に1日の必要量を確保しやすくなるというメリットがあります。
私のおすすめのアプローチは以下の通りです。
- トレーニングの1〜2時間前に、固形食(おにぎりと卵、など)で栄養を入れておく。
- トレーニング後は、家に帰ってからゆっくり食事やプロテインを摂ればOK。
- もし前の食事から4時間以上空いて空腹なら、トレーニング直後に飲むのがベター。
「30分以内に飲まなきゃ!」とストレスを感じる必要はありません。もっと気楽に、長く続けられる習慣を作っていきましょう。
あなたに最適な食事プランを見つけませんか?
今回は科学的なデータに基づいた「正解」をお伝えしましたが、実際にはライフスタイルや胃腸の強さ、好き嫌いによって「実行できる正解」は人それぞれ異なります。
- 体重×1.6gと言われても、何を食べればいいかわからない
- プロテインを飲むとお腹が張ってしまう
- 忙しくて食事の回数を増やせない
もしそんなお悩みをお持ちでしたら、ぜひ一度当ジムのカウンセリングにお越しください。
論文データはあくまで「平均値」です。 私たちのジムでは、そのデータをベースにしながら、「あなたの体質と生活」に合わせたオーダーメイドの栄養戦略をご提案します。
無理なく続けられる方法で、理想の体への最短ルートを一緒に探しましょう。
参考文献(References)
信頼性を担保するため、今回の記事で使用した主要な学術論文を記載します。
-
Schoenfeld, B. J., et al. (2013). The effect of protein timing on muscle strength and hypertrophy: a meta-analysis. Journal of the International Society of Sports Nutrition. https://jissn.biomedcentral.com/articles/10.1186/1550-2783-10-53 ※タンパク質摂取のタイミングと筋肥大の関係についてのメタ分析。
-
Morton, R. W., et al. (2018). A systematic review, meta-analysis and meta-regression of the effect of protein supplementation on resistance training-induced gains in muscle mass and strength in healthy adults. British Journal of Sports Medicine. https://bjsm.bmj.com/content/52/6/376 ※筋肥大に最適なタンパク質摂取量(体重あたり1.6g〜)を示した大規模レビュー。
関連
- 自宅でできるトレーニングシリーズ
- 筋トレビッグ3再考
- 筋力獲得の刺激
- ストレスマネジメントにおける運動の役割
- 減量ダイエット中のオメガ3脂肪酸補給の効果
- 睡眠障害を改善するための栄養戦略
- クレアチンのニッチな効果
☆★☆★☆
パーソナルトレーナー 井上大輔
パーソナルジムIGF 日本橋駅徒歩1分
パーソナルトレーニングをご希望の方→カウンセリングはコチラ
IGFは日本橋で創業し6年の完全個室予約制のパーソナルジムです
お身体、運動、食事のお悩み、お気軽にご相談ください
主な情報仕入れ先
- PubMed/論文検索サイト
- NSCA/全米ストレングス&コンディショニング協会
- ACSM/アメリカスポーツ医学会
- BMJ sport medicine/ブリティッシュメディカルジャーナル
- Harvard Health Publishing/ハーバード・ヘルス・パブリッシング