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  • 2023.04.28

筋トレは関節可動域を改善する-ストレッチは不要

筋トレで身体が硬くなってしまう(関節可動域が狭まってしまう)と考える人は多いです。

「筋トレすると身体が硬くなるよ!特にスポーツするなら筋トレよりもストレッチが大事!」こうしたことを言い伝えで聞いたことがある人も多いと思います。

しかし、実際には筋トレを行うと柔軟性が向上します。筋肉も大きくなり、筋力も強くなり、柔軟性も向上する。言うことなしです。エクササイズに費やす時間と効果を考えた時にはむしろストレッチはやらない方がいい選択になることも多いです。

結論からいうと、「筋トレの前後にストレッチを行うことは、柔軟性を高めるために必要ない」となります。

背景:レジスタンストレーニングはストレッチトレーニングと同様に関節可動域を広げる効果があることが知られているが、これまで、レジスタンストレーニングの可動域に対する効果を、潜在的な影響変数をすべて含めて調査した包括的メタ解析はない。

目的:このメタアナリシス付きシステマティックレビューの目的は、対照条件またはストレッチトレーニング、あるいはレジスタンストレーニングとストレッチトレーニングの組み合わせのいずれかと比較した慢性レジスタンストレーニングの可動域に対する効果を、調節変数を評価しながら評価することでした。

デザイン:主解析にはランダム効果メタ解析を用い、サブグループ解析には混合効果モデルを導入した。サブグループ分析では性別と参加者の活動レベルを、メタ回帰では年齢、レジスタンストレーニングの頻度、継続時間を考慮した。

データソース:4つのデータベース(PubMed、Scopus、SPORTDiscus、Web of Science)および参考文献リストによる系統的検索を行った結果、55件の研究が適格であることが判明した。

適格基準:健康な参加者の可動域に対するレジスタンストレーニングエクササイズのトレーニング効果を、対照群、ストレッチ群、ストレッチとレジスタンストレーニングの併用群のいずれかと個別に比較した対照試験またはランダム化比較試験。

結果:

  • レジスタンストレーニングは可動域を増加させた(効果量[ES]=0.73、p<0.001)ただし、体重のみを用いたレジスタンストレーニングでは有意な可動域の改善はみられなかった。
  • レジスタンストレーニング対ストレッチトレーニング(ES = 0.08; p = 0.79)、レジスタンストレーニングおよびストレッチトレーニング対ストレッチトレーニング単独(ES = – 0.001; p = 0.99)の間でも有意差は見られなかった。
  • 「トレーニングを受けている人や活動的な人」は可動域を増加させたが(ES = 0.43; p < 0.001)、「トレーニングを受けていない人や座りがちな人」は可動域の変化の大きさが有意(p = 0.005) に大きかった(ES = 1.042; p < 0.001)。
  • 性別と収縮タイプによる差は検出されなかった。
  • メタ回帰では、年齢、トレーニング期間、頻度による影響は見られなかった。

結論:外部負荷を用いたレジスタンストレーニングは可動域を改善することができるため、レジスタンストレーニングの前または後にストレッチを行うことは、柔軟性を高めるために必要ないのかもしれません。

まとめ

アスリートでない一般の人であれば、高い柔軟性はそもそも必要ないと考えられます。一定以上の関節可動域が確保できていればそれ以上は日常生活に何のプラスにもならないからです。例えば、開脚をベタっとできたところで日常で何の役に立つのか?と聞かれたら何の役にも立ちません。新体操など特別な活動をしているなら必要ですけどね。

「一定以上の関節可動域」はすでに多くの人が持ち合わせているケースがほとんどです。思い返してみれば「関節可動域が狭くて困ったな…」というシチュエーションはそんなに多くないと思います。

上記の研究で示されている通り、筋力トレーニングを行えば関節可動域は十分に改善します。従って、ストレッチを入念に行う時間があるなら筋トレをした方がマシと言えます。ストレッチは各筋肉30秒伸ばすのがベターなのですが、これを全身行うと30分は平気でかかります。下半身だけでも15分くらいかかるでしょう。それでいて毎日、半年以上あるいは数年行わないと関節可動域は改善してこないものです。

しかし、筋トレなら週に2〜3回行えば効果が得られます。関節可動域に加えて、筋肉も増え代謝が上がり、筋力が強くなるので日常生活も楽になります。ストレッチと比べて得られるものが多く、費やす時間も少なく済みます。

タイトルや研究の結論にもある通り、「筋トレの前後にストレッチを行うことは、柔軟性を高めるために必要ないのかもしれません。」というのは本当なのです。

もちろんストレッチにデメリットはほぼないので、トレーニングもストレッチも両方やる時間が十分に取れるなら両方やっても良いのですが。


参考文献

Resistance Training Induces Improvements in Range of Motion: A Systematic Review and Meta-Analysis

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パーソナルトレーナー 井上大輔外科代謝栄養学会/臨床栄養代謝学会/感染症学会

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