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  • 2024.09.10

内臓脂肪を落とす効率的な方法

内臓脂肪は、腹筋の内側につきます。一般的に、内臓脂肪は女性より男性がつきやすい脂肪ですが、閉経後は女性も内臓脂肪がつきやすくなる傾向があります。

脂肪細胞から様々な「生理活性物質」を分泌しています。内臓脂肪から放出される生理活性物質には、生活習慣病を「招くもの」と「防ぐもの」があります。

内臓脂肪がたまると、生活習慣病を引き起こす生理活性物質の分泌量が増加し、生活習慣病を防ぐ生理活性物質は減少してしまいます。

そのため、内臓脂肪がたまると血糖値や血圧が上がり、血管の損傷が促進され、糖尿病や脂質異常症といった生活習慣病になるリスクが高まってしまうというわけです。

さらに進行すると、動脈硬化や心臓病、脳卒中など命にかかわる病気を発症する危険性が高まります。

したがって、内臓脂肪を減らすことに注力すれば、疾患予防の効率をかなり高めることができます。

脂肪を落とす食事

内蔵脂肪を減らす、つまりダイエットということになりますが、ダイエット食には様々なものが提案されています。

ダイエット食の多くは、特定の食物や栄養素を排除したやり方となり、排除対象の食べ物が好きだったり、調理されたものの中に控えた方が良い食材・調味料が入っていたりすると、数週間は頑張れても、半年、1年、それ以上の継続性には疑問が残ります。

そうやって幾つかのダイエット食を試しては辞め、試しては辞め、といった経験があるかたも少なくないでしょう。

さらに、栄養素が偏る可能性も出てきます。

体重コントロールは生涯にわたって、少なくとも70歳くらいまでは取り組まなければならないと考えます。特に太りやすい体質の人はそうです。

なので、ダイエットは「特定の栄養を制限する」とは異なるアプローチで取り組むのが良いと思います。

そこでおすすめなのが、時間制限食です。

断食の一種である時間制限食は、1日のカロリー摂取を6~12時間の枠内に制限するものであり、体重減少を効果的に促進し、健康全般を改善することが示されています。

時間以外の制限がないので、食べるモノは比較的自由に設定されています。(だからと言ってドーナツやケーキばかり食べていいというわけではない)

時間制限食のエビデンス

世界5大医学雑誌であるブリティッシュ・メディカル・ジャーナルに掲載された、香港大学による2024年8月の最新の研究では、定期的な運動習慣のある健康成人の身体能力および身体組成に対する、時間制限食と普通食の比較効果について、メタアナリシスが実施されました。

361人が参加した15件のランダム化比較試験がシステマティックレビューに含まれました。

その結果、通常食と比較して、時間制限食は体重と脂肪量を有意に減少させました。身体能力と筋肉量に群間差は認められませんでした。

結論として、定期的な運動習慣のある健康な成人において、時間制限食は通常の食事と比較して、筋肉量に影響を与えることなく、体重と脂肪量を有意に減少させることができます。

持久力トレーニングまたは筋力トレーニングと時間制限食の組み合わせは、同じ運動法を併用した通常食と比較して、脂肪量の有意な減少をもたらしました。

さらに、運動パフォーマンスへの影響もありません。

このことから、ダイエットするかたは、身体的パフォーマンスに悪影響を与えない脂肪減少戦略として、時間制限食と運動を組み合わせを検討することを強くお勧めします。

脳の老化と内臓脂肪組織の相互作用

体を健康に保っても、脳機能が低下するとQOLは大きく低下します。ここでは、内臓脂肪と脳の健康について見ていきます。

2024年6月、中年期における内臓脂肪と脳の構造指標との関連が検討されました。

UKバイオバンクに登録された17,377人(平均年齢63歳、標準偏差12、女性53%)のMRI画像のデータが分析されました。

その結果、内臓脂肪量が大きいほど総脳容積、灰白質容積、総海馬容積が低かったです。

灰白質は、ニューロンの代謝や情報処理の中心となる神経領域です。

海馬は、日常的な出来事や学習した情報を一時的に受け入れ、整理整頓してから大脳皮質に保存する役割を担っており、海馬が健康に保たれていることで、過去の記憶や経験を元にした判断力が向上します。

内臓脂肪と総脳容積・灰白質容積の負の関連は、女性よりも男性の方が大きいという結果が得られています。

また、大脳白質病変も内臓脂肪(と年齢)との間に交互作用が認められました。大脳白質病変とは、大脳白質の血のめぐりが悪くなって、器官が酸素不足になっている状態で、認知機能が低下するリスクが高くなることが知られています。

以上のことから、この大規模な集団ベースのサンプルにおいて、内臓脂肪率と脳の老化のMRI測定値は関連することがわかりました。

内臓脂肪率と総脳容積および灰白質容積との負の関連は、女性よりも男性で大きかったです。

内臓脂肪率と大脳白質病変との関連は、若い年齢群で最も大きかったため、若くして太っていると将来的に認知機能が低下するリスクが高くなると予想されます。

まとめ

このように、内臓脂肪を減らすことは、生活習慣病だけでなく、脳機能の保護にも繋がる可能性が高いので、BMIが25を超える人は内臓脂肪を減少させるために食事と運動に取り組んだ方が賢明といえます。

減量食は、先ほど述べたように時間制限食が食材などを制限することなく取り組めて、筋肉量や運動パフォーマンスを損ねず、脂肪を減少させることができる有効な手段です。

やり方は簡単で、6から12時間のうちに3食を済ませれば良いだけです。

出来るだけ短い時間で(例えば6〜8時間)済ませるほど減量の効果は高いので、ご自身のスケジュールに合わせて、可能な限り短い時間で取り組んでみてください。

1食目を7時に食べたら、3回目の食事は13時、できれば15時(最も遅くて19時)に食べ終わる感じです。

それ以外の時間帯は水かお茶で過ごしましょう。


参考文献

定期的な運動習慣のある健康成人の身体能力および身体組成に対する時間制限食と普通食の比較効果:系統的レビューおよびメタ分析

https://bmjopensem.bmj.com/content/10/3/e001831

脳の老化における年齢、性、内臓脂肪組織の相互作用

https://dom-pubs.pericles-prod.literatumonline.com/doi/10.1111/dom.15727

ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル

https://ja.wikipedia.org/wiki/ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル

灰白質

https://bsd.neuroinf.jp/wiki/灰白質

海馬

https://bsd.neuroinf.jp/wiki/海馬

大脳白質の高強度は、機能的な脳卒中の結果を予測します。

https://bibgraph.hpcr.jp/abst/pubmed/19893308?click_by=p_ref

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