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  • 2022.09.20

ヨガと安静または理学療法との比較–腰痛とQOLに対して


ヨガは瞑想やエクササイズを混合させたものです。

ヨガの効果を調べてみると、肩こり・腰痛・むくみ・身体の引き締め・便秘など、各主訴に対してのアプローチがあり、それを改善すると言った記事(例えばコチラ)が沢山見られます。また、『インナーマッスルを中心に鍛えられ、ムキムキにならずに、しなやかな筋肉を養うことができる』などと謳われています。

ネットでよく見るヨガの効果に関する記事には、ホンマかいな?と思うような内容が書かれていることがあります。少なくとも身体の引き締め効果は怪しい…大体、「インナーマッスル」というものは医学的には存在しません。このワードはよくわかっていない人を信じ込ませるのに便利なワードなのです。

従って、今回は、ヨガが『腰痛や身体機能』に与える効果と理学療法(一般的な運動アプローチ)が与える効果を比較して、どちらが優れているのかを検証したいと思います。

コストとリターンを比べてどちらが良いのか?を知ることは大事です。

背景

慢性腰痛は一般的で、しばしば身体的障害をもたらす筋骨格系疾患である。ヨガは慢性腰痛に効果的な治療法であることが証明されている。しかし、ヨガの効果については、異なるフォローアップ期間や他の理学療法エクササイズとの比較において、まだ論争がある。

目的

慢性腰痛患者に対するヨガの効果について、痛み、障害、QOLを運動療法以外のもの(例:通常ケア、教育)と批判的に比較すること。

方法

慢性腰痛患者に対するヨガの痛み、障害、QOLへの効果を評価したPubMed、Web of Science、Cochrane Central Register of Controlled Trials、Embaseなどのオンラインデータベースの無作為化対照試験(RCT)を、開始時間から2019年11月1日まで検索した。研究は、少なくとも1つの重要なアウトカム、すなわち痛み、腰部特異的障害、QOLを評価するものであれば、適格とした。

結果

合計18の無作為化対照試験がこのメタ分析に含まれた。ヨガは、4~8週間、3ヶ月、6~7ヶ月で痛みを著しく軽減することができた。 12ヶ月では非運動と比較して有意ではなかった。ヨガは、4~8週間、3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月において非運動より機能障害に有効であった。痛み、機能障害については、理学療法による運動群と比較して有意差はなかった。さらに、ヨガとその他の介入との間には、身体的および精神的なQOLの面で有意な差はないことが示唆された。

結論

このメタアナリシスでは、慢性腰痛患者に対するヨガの効果を、異なる時点で調査した、非常に低いものから中程度のものまでのエビデンスが得られた。ヨガは、運動をしない場合(例:通常ケア、教育)と比較して、短期から中期にかけて痛みを減少させ、短期から長期にかけて機能的障害状態を改善する可能性がある。ヨガは、他の運動や理学療法と同様に、痛みと機能障害に効果があった。ヨガは、複合的な結果に基づいて、身体的および精神的なQOLを向上させないかもしれない。

以上のように、ヨガは『何もしない場合と比べて』痛みや機能障害を改善する可能性があることが分かりました。

インターネット上で【ヨガ 効果】などで検索した場合に見つかる記事のほとんどは、“何もしない場合と比べて”の効果を述べているのでしょう。何もしない場合と比べれば、何かした方が効果があるのは当たり前です。

では、理学療法と比べるとどうかと言われたら、研究でも示されているように痛みと機能障害に対して同じくらい効果があったとされています。この2つに有意差は無いようです。

従って腰痛や関節が痛いなどの場合、まず整形外科に行って相談すると思います。整形外科にはリハビリテーション室が併設されていることが多いです。その診てもらった流れで、理学療法士によるリハビリテーションを受けるのが自然な流れだと思います。一方で、ヨガによる腰痛改善を求めても、マンツーマンのヨガならまだしも、5人以上いるようなクラスで、しかも各人がそれぞれ身体の問題を抱える中でコーチから運動指導を受けるには限界があります。

さらに、程度にもよりますが腰痛であればジムでパーソナルトレーナーからトレーニング指導を受けるという選択もあります。この場合、腰痛改善と同時に筋肉や心臓血管系のトレーニングも取り入れて全体的に色々と改善するでしょう。

腰痛レベルと専門家の関係を示すなら、理学療法士>トレーナー>ヨガの先生、といった感じになると思います。

話が少し逸れました。研究に話を戻すと、腰痛を持つ人の肉体・精神QOLについては向上しない可能性があるとのことです。

ヨガは筋肉をトレーニングするわけではない、やったとしても筋機能を改善しうるだけの強度ではないため、身体レベルが向上しないのは容易に想像がつきます。一方で、精神的なQOLも向上させないとの結果は意外でした。瞑想を通じて何かしらのポジティブな結果は得られそうですが、そうではないようです。

まとめ

ヨガは短期、短期から中期、中期において痛みを和らげることができるという中程度のエビデンスを得ることができました。これらの変化の潜在的なメカニズムは、筋肉や関節の柔軟性、可動性、安定性の向上、ヨガの姿勢制御の実践から得られる脊椎のアライメントや姿勢、瞑想や呼吸制御の実践から得られる精神的・身体的リラクゼーションの増加、ヨガの身体的・精神的側面から得られる身体認識の向上などが挙げられます。

このメタ分析にはいくつかの限界があります。第一に、対象とした研究は全てRCTであったが、これらのRCTでは参加者と結果評価の盲検化を満たせなかったこと。第二に、ヨガの種類、ヨガの量と頻度、年齢、性別など、他の基礎となる変数を解析していない。第三に、世界的に軽度の慢性腰痛の集団において、ヨガは副作用が少ないが、18件中7つの研究で有害事象が報告されており、その安全性とヒト集団に広く適用できるかどうかを検討する必要があるが、これに関するメタアナリシスは行っていない。

ヨガの他にも、理学療法やパーソナルトレーニング、ピラティスなど選択肢は沢山あるので、腰痛を抱えている人はヨガ以外の選択をまずは考えた方が良いと言えるでしょう。ダイエットやその他の身体機能改善についても同様のことが言えます。

一方で、すでに健康な人が心身のリラクゼーションを求めてヨガを受ける事は良い選択だと思います。


参考文献

Yoga compared to non-exercise or physical therapy exercise on pain, disability, and quality of life for patients with chronic low back pain: A systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials

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