アルコールが筋肉に与える影響
アルコールの生理機能への影響
- アルコールは基礎的な筋タンパク質合成を減少させる
- 利尿作用があり、末梢血管拡張剤(→体液の蒸発による損失)として作用し、脱水をさらに悪化させる
- 筋肉のグリコーゲン取り込みと貯蔵を減らす
- バランス、反応時間、視覚的探索、認識、記憶、微細運動技能の正確さに用量依存的な障害を示す
急性アルコール摂取が代謝、神経機能、心血管系生理、体温調節、骨格筋ミオパシーの多くの側面に影響を与えるという、アルコールのヒト生理学への有害な影響はよく知られています。アルコールの乱用は、急性中毒や長期の過剰摂取により、骨格筋を含む多くの臓器や組織に病的変化をもたらします。
筋タンパク質は収縮機能だけでなく、他の組織のエネルギー需要を支えるために使用されるアミノ酸の代謝的予備軍としても機能するため、その含有量は厳密に制御され、動的であります。
多くのデータは、アルコールが、基礎的な条件下でも、成長因子、栄養素、筋収縮を含むいくつかの同化刺激に応答しても、主に全体的なタンパク質合成を損なうことを示唆しています。
さらに、アルコールは、他の異化(筋分解)状態におけるmTORおよび/または筋タンパク質合成の減少を悪化させる可能性があります。つまりトレーニング直後の筋肉の合成促進効果を打ち消してしまう可能性があるということです。
アルコールの影響は、他の薬物と同様に、飲酒量と飲酒期間によって有益にも有害にもなり得ます。
低用量から中用量のアルコールは、直接的にも間接的にも筋タンパク質バランスにほとんど影響を及ぼさないが、急性アルコール中毒や慢性アルコール中毒は、主にmTOR依存性のメカニズムと思われる方法で基礎的な筋タンパク質合成を減少させます。
まとめ
より重要なのは、アルコールが様々な同化(筋肉合成)刺激に対する抵抗性を誘導することであり、筋タンパク質のホメオスタシスに影響を及ぼすことです。
また、利尿作用などにより脱水を引き起こす可能性が高まります。
弊社にも前夜にアルコール摂取をした(少なくとも摂取後12時間は空いているが)お客様がトレーニングにいらっしゃる事がよくあります。多量のアルコールを飲んだら運動を控えるようにするのが良いと考えられます。
アルコールの代謝量は20gで4〜5時間程度と言われています。これには個人差があり、もっとかかる人もいます。
アルコール5%のビール500mlの場合、ざっと20gくらいのアルコール量になります。このようにアルコール度数とお酒の量を掛け算すれば、専門知識がなくても大体のアルコール量は算出できます。
- 日本酒:180ml(1合)
- ウイスキー:60ml(ダブル1杯)
- ハイボール:350ml(350ml缶1本)
- ワイン:200ml(グラス2杯)
- チューハイ:アルコール度数7%で350ml(缶1本)、9%なら250ml程度
- 焼酎:アルコール度数25%のもので110ml(0.6合)
これら1項目が分解にそれぞれ4〜5時間程度かかります。飲み会などでは複数の組み合わせになることが多いでしょうから、乾杯ビール×1、ハイボール×2を飲んだら、大体12時間はかかります。1度の飲み会でそれ以上飲む人も少なくは無いでしょう。
自分がどのくらいお酒を飲んだのかを把握し、アルコールが体から抜けるまでは運動や車の運転を控えるなど、安全に過ごせるようにしましょう。
参考文献
Dysregulation of skeletal muscle protein metabolism by alcohol
Alcohol, Athletic Performance and Recovery
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