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  • 2023.07.03

健康な成人に対する筋力トレーニングの進行モデル


特定のトレーニング目標に向けてさらなる適応を促すためには、漸進的な筋力トレーニングプロトコルが必要です。これを理解していない者が指導に当たると顧客は不利益を受ける事になります。ケガをしたり狙った事とは異なる効果だったり。

こうしたプログラムを組む技術は業界では『プログラムデザイン』や『ピリオダイゼーション』といった学問で今日までの研究・知見が体系化されています。これを学ぶには当然、時間やお金といった投資が必要ですが、安いパーソナルジムのトレーナー(もどき)はもちろん学んでいるはずがないので、安いパーソナルジムを使うと事故の発生確率は跳ね上がります。安かろう悪かろうはどの業界の商品でも同じ論理です。それを選んだ顧客、提供した事業者、双方の責任とも言えるでしょう。(そうした問題が最近Yahoo!に掲載されました

現場に立つための知識技術を学ぶ事、日々積みあがる知見を継続的に仕入れる事、こうした投資を行えば提供するサービスの価格はパーソナルジム専門ジムであれば最低60分1万円程度にはなるはずです。

話が逸れましたが、今回はトレーニングプログラムの進行についての研究を紹介します。

筋力に特化したプログラムの最適な特徴としては、コンセントリック(CON)、エキセントリック(ECC)、アイソメトリック筋の動作の使用、両側および片側の単関節および多関節エクササイズの実施などが挙げられます。さらに、筋力向上プログラムでは、運動強度を最適に保つようにエクササイズの順序を決めることが推奨されています

  • 小筋群エクササイズの前に大筋群エクササイズ
  • 単関節エクササイズの前に多関節エクササイズ
  • 低強度エクササイズの前に高強度エクササイズ

初心者(RT未経験者または数年間トレーニングを行っていない者)のトレーニングでは、負荷は最大8~12回(RM)の反復範囲に対応させることが推奨される。

中級者(約半年間の継続的なRT経験者)から上級者(数年間のRT経験者)のトレーニングでは、中程度の収縮速度(1~2秒CON;1~2秒ECC)で行うセット間に3~5分の休息時間を用い、最終的に高負荷(1~6RM)に重点を置いて、1~12RMの幅広い負荷範囲をピリオド方式で使用することが推奨される。

特定のRM負荷でトレーニングする場合、現在の負荷で希望する回数を1~2回多く反復できるようになったら、負荷を2~10%増加させることが推奨される。

トレーニング頻度については、初級トレーニングでは週2~3回、中級トレーニングでは週3~4回、上級トレーニングでは週4~5回が推奨されている。

肥大トレーニングについても、エクササイズの選択と頻度に関して同様のプログラム設計が推奨される。

負荷については、1~12RMに相当する負荷を、6~12RMゾーンに重点を置いて、セット間の休息時間を1~2分とし、適度な速度で、ピリオダイゼーション方式で使用することが推奨される。

筋肥大を最大化するためには、より高いボリュームの複数セットプログラムが推奨される。

パワー・トレーニングの進歩には、2つの一般的な負荷戦略が含まれる: 1)筋力トレーニング、2)軽い負荷(下半身のエクササイズでは1RMの0~60%、上半身のエクササイズでは1RMの30~60%)を、速い収縮速度で、セット間の休息時間を3~5分とし、エクササイズごとに複数セット(3~5セット)を行う。

また、特に全身を使った多関節エクササイズに重点を置くことが推奨される。

局所的な筋持久力トレーニングでは、軽度から中等度の負荷(1RMの40~60%)を、短い休息時間(90秒以下)を用いて高回数(15回以上)実施することが推奨される。

この見解の解釈においては、以前の見解と同様に、推奨は文脈の中で適用されるべきであり、個人の目標、身体能力、トレーニング状況に応じて決定されるべきである。

まとめ

正しく設計されたトレーニングプログラムの実施においては「傷害発生率はジョギングよりもはるかに小さくなるもの」です。筋トレは空調の効いた部屋で、安全な施設で、ただ関節を動かすだけなので、普通に考えれば事故が起こりようがないのです。

冒頭のニュースは、事業者側の怠慢(ただの金儲けとう考え)と利用者側の出来るだけ安いものを利用しようというマインドが重なって問題が起きた事です。

利用者はカウンセリング時にこう聞いてみると良いです。

  • 外部機関の資格は持っていますか?(NSCA、JATI、健康運動指導士など)
  • その資格はどのように認定されますか?(お金を払えば貰える資格が沢山ある。テストで一定の点数が必要な外部の資格が良い)
  • これまでどのような現場で指導されましたか?
  • どういった人を指導してきましたか?
  • どういった継続学習をしていますか?

この5つを聞いて全て明快に答えてくれればそれなりに信用できるでしょう。あとはやってみねば分かりません。

少しでも回答に違和感があれば避けるべきです。パーソナルトレーニングはそもそも贅沢品なので高級であるはずです。したがって、ある程度の実践経験と明確な信念がある人材がパーソナルジムに居るべきです。つまりその数は多くはないはず。

流行と誰でもトレーナーになれるからこそ、最近では安いパーソナルジムが増えてきました。私としてはこの流れは良くないと思っています。冒頭のニュースのように事故も多発しており、実害が出ています。しょうもないサプリメントを売りつけるジムも多くあります。

こうした流れは真面目に研鑽しているトレーナーが割を食うし、お客様もケガをした上に安物買いの銭失いといいことありません。

お客様は上記のような質問をカウンセリング時に投げかけて、自己防衛を図ったうえで信頼できるトレーナーを見つけられると良いなと思います。


参考文献

Progression Models in Resistance Training for Healthy Adults

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パーソナルトレーナー 井上大輔外科代謝栄養学会/臨床栄養代謝学会/感染症学会

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