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  • 2024.07.23

健康のために1日何歩歩けば良いか?

身体活動は、複数の慢性疾患による罹患率や死亡率を低下させ、生活の質の向上と関連しています。

様々なデバイスの普及に伴い、一般の人々にとって1日の歩数をモニターすることは非常に簡単になっています。

1日1万歩という目標は、一般的な健康にとって最適であるとして広く推進されているが、これはエビデンスに基づくものではなく、日本におけるマーケティングキャンペーンに由来するものです。

今回は、1日当たりの歩数と死亡率に関するメタアナリシスを完成させることを目的とした研究を紹介します。

座っている時間が長いとどのような影響があるのか、

1日にどのくらい歩けば良いのかを確認したいと思います。

座位時間と健康リスク

2019年9月に、座っている時間と心血管疾患と糖尿病のリスクについてメタ分析が行われました。

ちなみに、心血管疾患は死因第1位、糖尿病は第9位です。

血糖値が高いだけでは人は死にませんが、慢性的に高血糖状態だと、心血管疾患を含む様々な病気のトリガーになるので、糖尿病は実質的には1位だったりします。

話が少しそれましたが、そういうわけで、心血管疾患と糖尿病のリスクが検討されているのは大きな意味があります。

この研究では、448,285人が参加した9件の研究をメタ解析しています。

その結果、1日の総座位時間が長いほど、身体活動で補正しない場合、心血管疾患および糖尿病発症リスクの有意な上昇と関連していました。

糖尿病のリスク増加は、身体活動で調整すると影響を受けませんでした。

心血管疾患については、リスク増加は抑制されたが有意なままでした。

運動をすれば血糖値を抑え、糖尿病のリスクを低減することは出来るようですが、心臓血管系は運動をしても少ししかインパクトは無いようです。

いかに連続した座位時間を中断できるかがポイントになります。

2024年4月の研究では、オフィスワーカーに対する職場介入の有効性についてメタ分析が行われています。

その結果、1日当たり30分以上の座位時間の減少は、体重、BMIに好影響を与えるだけでなく、エネルギーおよび精神的機能を有意に増加させ、疼痛および睡眠障害を減少させることが示されています。

さらに、1日30分の座位時間を低強度・中強度・高強度の身体活動いずれかに置き換えると、全死因死亡リスクが低下し、血中コレステロールが減少することがわかっています。

勤務時間を8時間として、30分おきに立つ機会を設けると、16回程度は座位時間中断のチャンスがあります。

仮に10回立つとして、1回3分程度立って休憩したり、立ったまま仕事をしてみたり、お手洗いの個室でちょっと体操してみる(実際にやっているお客様がいる)ことをお勧めします。

1日の歩数と全死因死亡率

ーどのくらい歩けば良いかー

1日の歩数と死亡リスクは密接に関係しています。

2024年6月の最新の研究を見ていきましょう。

メタ解析を含む11のシステマティックレビューと14のコホート研究が対象となり、分析されました。

その結果、

歩数が増加するほど死亡率が低下することが示されました。

最適な用量は1日約7,000から9,000歩でした。

全原因死亡率がトントンになる1日の最小用量は3,143歩でした。

電車通勤をしている人は、家から駅、駅から会社の往復で3,000歩くらいは歩いていると思います。

このような場合は、1日7,000から9,000歩を、あるいはそれ以上を目標として、追加で歩く機会を設けましょう。

車通勤をしている人は、3,000歩も怪しいケースがあるかと思います。

このグラフを見ると、1日3,000歩が平均的な死亡率とすると、3,000歩未満だと死亡リスクが高くなるということです。

この研究の解析では、70歳未満の最適な毎日の歩数は8,000から10,000の範囲で、最低3,934歩で継続的なリスク低減が観察されています。

したがって、1日4,000歩が最低条件と考えて、プラスアルファで歩くように意識してみてください。

大体10分で1000歩くらい稼げますので、何分歩くのを追加すれば良いかを検討されてください。

まずは、10分、15分からでも良いので、今よりも増やすように心がけましょう。

まとめ

今回は、座位時間が長いと健康上のリスクがあること、1日に何歩歩くと健康上の恩恵が得られるかを確認しました。

運動をすれば血糖値を抑え、糖尿病のリスクを低減することは出来ますが、

心臓血管系は運動をしても少ししかインパクトは無く、余暇で運動をしていても座位時間の短縮は必要と言えます。

1日当たり30分以上の座位時間の減少は、体重、BMIや精神状態などを改善し、睡眠障害を減少させることにつながります。

デスクワーカーのかたは、できれば30分に1回、少なくとも1時間に1回は2〜3分立つようにしましょう。

最適な毎日の歩数は8,000から10,000の範囲で、最低3,934歩です。

現代はスマホをポケットに入れていれば、勝手に歩数を計測してくれるので、測定は難しくありません。

今のライフスタイルに追加で、1日10分歩くことから始めてみましょう。


参考文献

座っている時間と心血管疾患と糖尿病のリスク:系統的レビューとメタ分析

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31377090/

オフィス従業員の座りがちな行動を減らすためのデジタル要素による職場介入の有効性:体系的なレビューとメタ分析

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC11031993/

毎日のステップと全原因死亡率:15の国際コホートのメタ分析

https://www.thelancet.com/journals/lanpub/article/PIIS2468-2667(21)00302-9/fulltext

毎日のステップと全原因死亡率:包括的なレビューとメタ分析

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0091743524002020?via%3Dihub

 

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