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  • 2025.06.03

動物性タンパク質と植物性タンパク質の違いについて

筋肉量減少を予防するためには、日常的なタンパク質と運動が必要になるわけですが、今回はよく議論に上がる植物性タンパク質と動物性タンパク質について、筋肉量、筋力、身体パフォーマンス、に及ぼす影響を研究をもとに解説していきたいと思います。

横断歩道を歩くのが遅いとか、ペットボトルの蓋を開けるのに難儀するとか、階段を登るのに踊り場で休憩を挟まないといけないとか、こういった身体機能の低下と筋肉量減少を合わせてサルコペニア、またはサルコペニア予備軍と呼びます。

最近では街で10から20代の人を眺めると、将来サルコペニアかな?みたいな体型の人が昔に比べて多いと感じますので、お子さんへの食育といった視点でも理解していただければと思います。

タンパク質の種類とフィジカルの関係

2025年1月の研究で、30件のランダム化比較試験、1538人の参加者を対象にメタ分析が行われました。

・筋肉量への影響

動物性タンパク質が植物性タンパク質に対して筋肉量においてわずかに優れた効果を示しました。

動物性タンパク質の筋肉量に対する効果は、若年者の方が高齢者よりも顕著でした。

しかし、植物性タンパク質を大豆タンパク質に絞ってみると、ホエイタンパク質の間で筋肉量に差がありませんでした。

さらに、年齢(60歳未満、60歳以上)および性別によるサブグループ分析でも、大豆タンパク質とホエイタンパク質の間に有意な差は見られませんでした。

植物性タンパク質が動物性より劣るという結果は、大豆以外のタンパク質、コメ・麦・イモなどのタンパク質が足を引っ張っていることがわかります。

・筋力への影響

下半身の筋力は、動物性タンパク質は植物性タンパク質と比較して高齢者で有意な効果がありましたが、

若年者ではそういった傾向はありませんでした。

上半身の筋力は

植物性タンパク質と動物性タンパク質の上半身の筋力に対する効果は同等でした。

年齢による違いもありませんでした。

身体パフォーマンスへの影響は

動物性タンパク質と植物性タンパク質に身体パフォーマンスの差はありませんでした。

以上をまとめると、動物性タンパク質は植物性タンパク質と比較して筋肉量に対してわずかな有益な効果を示しましたが、大豆タンパク質と動物性タンパク質には差はありません。

筋力や身体パフォーマンスについてはタンパク質の種類で差はありませんでしたが、動物性タンパク質は高齢者の下半身の筋力において植物性タンパク質よりも優れていました。

例えば歳をとるほど肉を食べるのがしんどくなってきます。これは脂による影響が大きいと考えられますが、そのせいで動物性タンパク質の絶対量が減ってしまうくらいなら、肉の量をちょっと少なくして、そのぶん納豆や豆腐などから大豆タンパク質でカバーするというのが良いと言えます。

この戦略によって筋肉量に差が出ることはないのは今回の研究で明らかになっています。

下半身筋力には動物性タンパクの方が優れていた要因として考えられるのは、クレアチンの含有量だと推察します。とはいえ、動物性タンパク質の摂取は大変かと思うので、これは素直にサプリメントでカバーするのが良いでしょう。

ということで、大豆タンパク質であればホエイタンパク質と同等の効果なので、種類を気にせずバリエーションに富んだ食事やサプリメントからタンパク質を摂るようにしましょう。

動物性タンパク質と筋トレの組み合わせは、植物性タンパク質と筋トレの介入よりも筋肉量の増加に対してより効果的であることが示されていました。

運動をすると、組織の破壊によって必須アミノ酸の要求量が増えるので、必須アミノ酸含有量が多い動物性タンパク質の方が効果的だったと考えられます。

また、若年層の筋肉の方が必須アミノ酸に対してより高い感受性を持つので、これが結果に差を与えたと考えられます。

したがって、高齢者の場合は、筋トレと組み合わせても動物性・大豆タンパク質の効果は同じです。

まとめ

全体として、動物性タンパク質は植物性タンパク質と比較して、若年者では筋肉量に対してわずかに有益な効果を示しましたが、高齢者ではその効果は見られませんでした。

大豆タンパク質は、若年者および高齢者の両方で筋肉量の維持または増加において動物性タンパク質と同等です。

動物性タンパク質または大豆タンパク質と筋トレの組み合わせが筋肉量の増加に最適な介入であると考えられます。

筋力への影響はわずかに動物性タンパク質の方が優れていますが、食事のしやすさによっては必ずしも動物性タンパク質にウエイトを置きすぎる必要はないでしょう。筋力アップに対しては、歳を取ったらクレアチンサプリメントを活用した方が手っ取り早いし現実的と考えられます。

 

私も30代半ばになって、動物性タンパク質の好みが変わってきました。具体的には、肉なら何でも食べていたのが、ヒレ肉や赤身肉を好んで選択するようになりました。サシの入った肉などを食べると、しばらく胃に脂が残る感覚があるんですよね。

これは20代の頃にはなかった感覚で、より歳をとるほどこれが顕著になり、やがて肉の量を減らしたり、もはや受け付けなくなったりするのだろうなと考えています。

その代替案として大豆タンパク質でも差はないということがわかりましたので、大豆の煮物とか納豆の比率を高めて、タンパク質総量が落ちないようにしていきたいと考えています。

加齢でなくとも、女性は体重を気にしてカロリーが高くなる肉を避ける場合もあると思いますが、大豆タンパク質を活用して、カロリーと総タンパク質のバランスをとってあげると良いでしょう。

サルコペニアを予防するために、若いうちからタンパク質を常に充足させておくことが大事で、歳を取ってからもその絶対量を減らさないことが重要です。

動物性タンパク質・植物性タンパク質、どちらでも良いので好みや体調に応じてしっかり摂取していきましょう。


参考文献

植物性タンパク質と動物性タンパク質が筋肉量、筋力、身体能力、サルコペニアに及ぼす影響:無作為化比較試験の系統的レビューとメタ分析

https://academic.oup.com/nutritionreviews/advance-article/doi/10.1093/nutrit/nuae200/7954494?searchresult=1#500311044

サルコペニア、ダイナペニア、および加齢が人間の骨格筋のサイズと強度に及ぼす影響;定量的レビュー

https://www.frontiersin.org/journals/physiology/articles/10.3389/fphys.2012.00260/full

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