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  • 2023.07.24

変形性膝関節症・股関節症に対する運動療法と抗炎症薬の比較


変形性関節症(Osteoarthritis:OA)は、最も一般的な関節疾患であり、高齢者における痛みの主な原因です。膝や股関節のOAに伴う痛みの症状は、身体的障害や歩行障害を増加させ、全死因死亡のリスクを増加させます。

経口非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)およびパラセタモール(またはアセトアミノフェン:つまり解熱鎮痛薬)は、OAの疼痛をコントロールし身体機能を改善するために最も頻繁に処方される鎮痛薬であり、OA人口の10%~35%が経口NSAIDsまたはパラセタモールの使用を報告しています。しかしながら、経口NSAIDsおよびパラセタモールは、特に合併症を有する高齢者において、消化管または心血管合併症、さらには死亡リスクの上昇と関連しています。

運動と経口非ステロイド性抗炎症薬やパラセタモールの有効性を比較することで、運動の鎮痛効果を確認することができます。こういった情報は、一般的な健康のための身体活動としてだけでなく、OAに対する効果的な治療法としての運動に対する一般の認識を高める可能性があります。これは、患者-開業医間の話し合いや意思決定の共有に役立ち、患者が個々に合わせたOA管理計画に運動を取り入れることをより積極的に促すと考えられます。また、運動が痛みに対して有効かつ服薬よりもリスクが小さくリターンが大きいなら、患者さんが民間企業へトレーニング指導を受けに行く後押しとなるでしょう。

今回は、変形性関節症試験における2つの一般的なアウトカム、すなわち膝や股関節の変形性関節症患者における痛みと機能についての比較効果量を推定した研究を紹介します。

このテーマについてすでに知られていること

運動は変形性関節症の効果的な治療法である。その良好な安全性プロファイルから、National Institution for Health and Care Excellenceやその他の変形性関節症の治療ガイドラインでも、中心的な治療法として推奨されている。

しかし、運動による鎮痛効果が、経口非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や、変形性関節症で最も一般的な鎮痛薬であるパラセタモールによる鎮痛効果に匹敵するかどうかは、まだ不明である。

新しい知見とは

変形性膝関節症または股関節症に対する152の無作為化比較試験(参加者17431人)のネットワーク・メタアナリシスにより、運動が経口NSAIDsおよびパラセタモールと比較された。

運動は確かに薬であり、その鎮痛効果は経口非ステロイド性抗炎症薬やパラセタモールと同様である。

目的;臨床ガイドラインでは、変形性膝関節症や股関節症(OA)に対する中心的な治療法として運動を推奨している。しかし、その鎮痛効果が、例えばOAに対して最も一般的に使用されている経口非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)やパラセタモールなどの鎮痛薬と比較してどうなのかは不明である。

デザイン:ネットワークメタ解析。

データ情報源:PubMed、Embase、Scopus、Cochrane Library、Web of Science、データベース開設から2022年1月まで。

研究選択基準:膝OAまたは股関節OAにおいて、運動療法と経口NSAIDsおよびパラセタモールを直接または間接的に比較したランダム化比較試験(RCT)。

結果:

  • 合計n=152のRCT(17,431人)が組み入れられた。
  • 疼痛緩和に関しては、4週間後またはそれに近い時点において、運動療法とNSAIDsおよびパラセタモール内服療法との間に差はなかった(標準化平均差(SMD)=-0.12、95%信頼区間(CrI)-1.74~1.50、n=47 RCT)、8週間後(SMD=0.22、95%CrI-0.05~0.49、n=2 RCT)、24週間後(SMD=0.17、95%CrI-0.77~1.12、n=9 RCT)。
  • 同様に、4週間(SMD=0.09, 95% CrI -1.69 to 1.85; n=40 RCTs)、8週間(SMD=0.06, 95% CrI -0.20 to 0.33; n=2 RCTs)、24週間(SMD=0.05, 95% CrI -1.15 to 1.24; n=9 RCTs)での機能改善においても、運動と経口NSAIDsおよびパラセタモールとの間に差はなかった。

結論:運動は、経口NSAIDsやパラセタモールと同様の疼痛および機能改善効果を有する。その優れた安全性プロファイルを考慮すると、特に合併症を有する高齢者やNSAIDsやパラセタモールに関連する有害事象のリスクが高い高齢者において、運動は臨床ケアにおいてより重視されるべきである。

まとめ

変形性膝・股関節症に対する運動は、経口非ステロイド性抗炎症薬やパラセタモールと同等の疼痛緩和と機能改善効果があると分かりました。

薬による副作用を考えると、ケアとして運動を第一に考える事が大事ですね。

私は、変形性膝関節症や股関節症のお客様に運動指導をしたことが何度かありますが、全て有害事象なく、痛みや機能の改善を達成できました。今回の研究はそれを支持するものだったと思います。

関節症にお悩みの方は一定期間のパーソナルトレーニングを検討されるのも一つの手段になるかと思います。おすすめです。


参考文献

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パーソナルトレーナー 井上大輔

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