記憶、処理速度、気分状態に対する筋トレの急性効果
急性の中強度から高強度強度の有酸素運動は学習と記憶を改善することが示されていますが、急性の高強度レジスタンス運動(=筋トレ)が記憶を改善する効果については完全には解明されていません。
急性有酸素運動と同様に、急性レジスタンス運動は、急性運動の記憶増強効果を媒介することが示唆されているメカニズムである覚醒および循環カテコールアミンを増加させます。さらに、急性運動は気分状態に有益であることが示されていますが、高強度のレジスタンス運動が認知チャレンジ後の気分状態に正の影響を及ぼすかどうかは不明です。
方法:この被験者内デザインでは、被験者(18~25歳の男性)は、レジスタンス運動または座位安静を約40分間行った。その直後に、自動神経心理学的評価指標(ANAM)のコード代替(CS)-学習、CS-即時認識、CS-遅延認識の課題を行い、その後ANAM気分尺度を行った。
結果:認知記憶に対する運動の有意な効果はみられなかったが、CS-学習(注意と処理速度)は、抵抗運動後の方が優れていた(p = 0.03)。認知チャレンジ後、レジスタンス運動後、安静時(p<0.001)、活力(p=0.03)、抑うつ(p=0.047)スコアは、安静時と比較して高かった。しかし、偽発見率補正後、セッション間で有意差が残ったのは安静時(q=0.002)のみであり、活力(q=0.09)と抑うつ(q=0.09)には有意差は認められなかった。
結論:これらの結果は、急性期のレジスタンス運動は、注意力と処理速度を向上させるが、認識記憶は向上させず、気分状態に対する効果はまちまちであることを示唆している。
まとめ
筋力トレーニングを行うと、注意力(≒集中力)と処理速度が向上する事が分かりました。一方で、認識記憶については変化なしでした。一方で、有酸素運動には学習と記憶を改善する効果があります。
これは使い分けが大事で、分かりやすく言うと
- 有酸素運動:脳みその引き出しの数を増やす
- 筋トレ:引き出しを開けやすくする
という感じです。日常生活でも、久しぶりに会った人の名前を思い出せない、昨日の講義の内容を思い出せない、など「引き出しを開ける作業」が上手く行かない時があります(皆さんもこういった経験があるでしょう)。で、答えを聞くと、そうだそうだ!となるわけですが、これは記憶はしているが記憶を取り出す機能が低下している状態といえます。筋トレはこういった状態を改善する脳の処理速度を向上させます。
モノを覚えたい時は、ウォーキング・ジョギング・自転車など有酸素運動をしながら講義を聴いたりすると脳にインプットしやすくなります。
肉体的健康面にも有酸素運動と筋トレは良い効果を与えてくれますが、脳にとっても良い効果を与えてくれます。
両方取り組んで行くことが脳も身体も健康を保つために必要な事ですね。おすすめは筋トレ週2、有酸素運動週3~5程度です。
参考文献
- 関連
- 虚弱百歳老人における12週間の筋力トレーニングの効果
- 高齢者も有酸素運動より筋トレを優先すべき理由
- 筋肉と体力が少ない高齢者に対する筋トレの効果
- 筋トレの効果:中高年~高齢女性の体組成、筋力、機能性に対して(45~80歳)
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パーソナルトレーナー 井上大輔
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