2023.07.28

2型糖尿病における運動がQOLに及ぼす影響

運動は2型糖尿病の心代謝リスク因子を管理するための治療法として証明されています。しかし、2型糖尿病患者におけるQOL（Quality of Life：生活の質）などの患者報告アウトカム指標に対する効果は不明です。

したがって、今回は、

成人2型糖尿病患者における定期的な運動がQoLに及ぼす影響を明らかにし
異なる運動様式がQoLに及ぼす影響を明らかにし
QoLの改善がHbA1Cの改善と関連しているかどうか

を明らかにする研究をみていきたいと思います。

結論からいうと、この系統的レビューとメタアナリシスの結果は、運動が成人2型糖尿病患者のQoL改善に有効であるという確かなエビデンスを示しています。さらに、このような改善は、健康関連QoLの身体的要素の改善を介するようであり、グルコースコントロールの改善と関連しています。

可能であれば、有酸素運動を優先すべきであるが、有酸素運動の代わりではなく、それに加えてレジスタンストレーニングも処方すべきである。

方法：関連データベースを2022年5月まで検索した。適格試験には、2週間以上の有酸素運動および/またはレジスタンス運動を含む無作為化試験を含み、目的に応じたツールを用いてQoLを評価した。平均差および95％信頼区間（CI）は、標準化平均差（SMD）または加重平均差として算出した。回帰分析により、QoLの変化とA1Cの変化との交互作用を検討した。

結果：検索された12,642件の研究のうち、2354人が参加した29件が含まれた。

運動はコントロールと比較してQoLを改善した（SMD、0.384；95％CI、0.257～0.512；P＜0.001）。

有酸素運動単独またはレジスタンストレーニングとの併用はQoLを改善したが、レジスタンストレーニング単独では改善しなかった。

健康関連QoL（HRQoL）の身体的要素はすべての運動様式で改善したが、HRQoLの精神的要素は変化しなかった。

運動はHbA1Cを改善し、この変化はHRQoLの改善と関連していた。

結論：これらの結果は、定期的な有酸素運動単独またはレジスタンストレーニングとの併用が、成人T2D患者のQoL改善に有効であるという確かなエビデンスを提供するものである。このような改善は、HRQoLの身体的要素の改善によって媒介されるようであり、血糖コントロールの改善と関連している。QoLなどの患者報告アウトカムに対する運動時間、強度、頻度の相対的重要性を明らかにするために、さらなる研究を行うべきである。

まとめ

研究にもある通り、運動は間違いなく血糖値やQoLの改善に繋がります。

「可能であれば有酸素運動を優先すべきである」とあります。これは有酸素運動で効果を出そうと考えたとき、エクササイズを少なくとも150分/週、つまり30分以上の運動を週5回、3～12ヶ月行う必要があります。働く現役世代にとって果たしてこれが現実的に実践できそうか？を考える必要があるという事です。

仕事の前後に時間を1時間（シャワー着替えを考慮）確保してランニング出来るでしょうか？

今夏のように連日35度を超える日に外でランニングするわけにも行きませんし、そのために夏だけジムに入会するのか？微妙な問題です。梅雨や台風の時期はランニングもお休みとなってしまう事も多いでしょう。

2型糖尿病の人はきっちり運動をスケジュールして実行するのは苦手なはずです。一人でそれが管理できているならそもそも2型糖尿病にはなっていないはずです。

私はこれまで沢山の2型糖尿病のお客様に運動指導していますが、おススメなのは週2回筋トレをすることです。これで糖を処理しやすい身体（筋肉）を作ります。加えて、血糖値に大きく影響を及ぼす「食事」の部分でコントロールを図っていきます。みなさん必ず血糖値が改善していきます。

パーソナルトレーニングなら空調の効いた部屋で安全にトレーニングできますし、一人ではないので自分の意志ですぐに辞めちゃうことも防げます。少なくとも2～3ヶ月は効果が出る行動をとるようになるので3ヶ月後はたいてい血糖値が改善しているものです。この成功体験がさらなる行動強化に繋がり、良い循環が生まれます。

血糖値が気になる方は一度パーソナルトレーニングを利用されると良いと思います。人生にとってプラスにしかならないので。私はいつでも大歓迎ですよ。

参考文献

The Effect of Exercise on Quality of Life in Type 2 Diabetes: A Systematic Review and Meta-analysis