50代から70代のための体組成を改善する栄養と運動の介入
今回は中年期以降の人が、脂肪を落とすためのベストな方法を解説します。
肥満は、高血圧、2型糖尿病、脂質異常症、血管疾患、数種類のがんなど、いくつかの疾患の主要な危険因子です。
肥満は世界的な健康問題の一つとなっており、加齢の過程で生じることが多いです。
これは特に45歳以降にみられ、体重のピークは中年期、すなわち50から65歳です。
加齢は体脂肪の貯蔵増だけでなく、筋肉量、筋肉機能、水分保持量の減少も伴います。
肥満と筋肉の低下が同時に進行すると、サルコペニア肥満になる可能性があります。
筋肉量の減少と脂肪量の増加が相殺されて、体重は安定したままなので気づかずに進行します。
栄養と運動の介入は、過体重や肥満を治療するための最も最良な方法です。
同時に減量の際は、筋肉量の保持も意識しなければなりません。
定年退職年齢前後(55から70歳)の過体重または肥満の人の体組成、BMI、およびウエスト周囲径を改善するために、
どのような栄養および運動介入が最も効果的かを皆さんと共有したいと思います。
2023年5月に公開された研究で、55から70歳のBMI25以上の男女。
6から8週間の栄養または運動介入が行われた研究をリストアップ。
4957人の被験者を対象とする66件の研究でメタアナリシスが実施されました。
その結果、
体脂肪の減少は、運動と組み合わせたエネルギー制限、または高タンパク質摂取の手段で最もよく達成できました。
エネルギー制限のみでも体脂肪は減少しましたが、その程度は小さく、逆にエネルギー制限のみでは筋肉量が減少する傾向がありました。
筋肉量は、筋力トレーニングと有酸素運動の組み合わせ介入でのみ有意に増加しました。
単独の運動様式では、筋肉量を効果的に維持しました。
全体として、筋肉量を維持または増加させながら脂肪量を減少させるための最も効果的な戦略は、エネルギー制限または高タンパク食と筋トレ(または混合運動)でした。
歳をとるほど筋肉量の減少量は年々増えていきます。
減量は体脂肪も筋肉も減らす行為です。
しかし、筋肉を減らしてしまっては、将来的なリバウンドや日常生活の機能低下が懸念されるので、減量する際はいかに筋肉を残すかも同時に考えなければなりません。
この研究で、50代以降は筋トレとカロリー制限が、筋肉を維持しながら脂肪を落とすための絶対条件ということが分かりました。
もちろん30代も40代も筋トレと食事制限を取り組んだほうが、おそらく良い減量につながると考えられます。
現在BMIが25を超えている方、血糖値や血中脂質、血圧などが気になる方は、筋トレと食事制限の同時アプローチを、まずは取り組むことをお勧めします。
有酸素運動やその他の運動は、心身ともに余裕が出てきてから取り組むでも遅くはありません。
減量の際は、まずは筋トレと食事制限ということを覚えておいて頂ければと思います。
さらに加えると、筋力トレーニングは時間効率が良いです。
15分あれば3種目実施できて、ジムならこれでほぼ全身鍛えることができます。
自宅トレーニングでも20から30分程度あれば、充分に全身を鍛えることができます。
それでいて、週2から3回の実施で恩恵を得ることができます。
1回20分前後で週2から3回、時間にして合計60分未満です。
対して有酸素運動は、少なくとも150分の中強度トレーニングが必要とされています。
筋肉量を維持しながら脂肪を落とし、時間効率まで優れている筋トレは、50代以降のかたはまず第一優先で取り組んだ方が良いと言えます。
食事制限に関しては、食べる量を10から20%程度減らすこと(特に夜ご飯)、タンパク質摂取量を増やすことが重要です。
タンパク質を増やすと自然と脂質の比率が増えます。
すると全体のカロリーは上がります。
したがって、タンパク質を増やした分、炭水化物を普段の量から3から4割くらい減らすイメージで調整すると良いです。
これは糖質制限ではなく、普段摂りすぎている糖質の是正ということです。
タンパク質食材の目安量については、朝昼晩、最低100グラムの肉か魚を食べることが、多くの人にとってタンパク質の最低ラインです。
コレでタンパク質60から70グラムになります。
運動する日は、食材を1食150グラムに増やしたいです。
カロリーを減らさなければならないので、調理法は揚げる意外を選択しましょう。
フライパンなどで焼く場合は、できるだけ油を少なくして調理しましょう。
茹でる、煮る、蒸す オーブンやグリルで焼く等が追加で油を摂取せずに済みます。
食事の楽しみもあるので、たまにフライパンで焼くのは入れても良いですが、基本は油を追加しない調理方法で用意することをお勧めします。
今回は、50代以降の体づくりは、脂肪を落としながら筋肉を維持することを考えましょう。
そのためには、筋トレとカロリー制限およびタンパク質摂取が絶対条件というお話でした。
運動は有酸素運動だけ、もしくは食事制限だけの減量は筋肉量低下が必ず起こるということを頭の片隅にでも入れて頂ければと思います。
今回の動画が皆さんの減量の役に立てれば幸いです。
参考文献
関連
- Youtubeチャンネルで運動・栄養・健康について様々な情報を発信しています
- 自宅でできるトレーニングシリーズ
- 筋力獲得の刺激
- ストレスマネジメントにおける運動の役割
- 減量ダイエット中のオメガ3脂肪酸補給の効果
- 睡眠障害を改善するための栄養戦略
☆★☆★☆
パーソナルトレーナー 井上大輔
パーソナルジムIGF 日本橋駅徒歩1分
パーソナルトレーニングをご希望の方→カウンセリングはコチラ
IGFは日本橋で創業し6年の完全個室予約制のパーソナルジムです
お身体、運動、食事のお悩み、お気軽にご相談ください
主な情報仕入れ先
- PubMed/論文検索サイト
- NSCA/全米ストレングス&コンディショニング協会
- ACSM/アメリカスポーツ医学会
- BMJ sport medicine/ブリティッシュメディカルジャーナル
- Harvard Health Publishing/ハーバード・ヘルス・パブリッシング