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2023.01.09

糖尿病予備軍への低炭水化物食による血糖値への影響

低炭水化物食は,2型糖尿病患者のヘモグロビンA1c(HbA1c)を少なくとも低脂肪食と同程度に低下させることが知られています。しかし,糖尿病治療薬で治療していない糖尿病予備軍から糖尿病の範囲のHbA1cを有する個人における低炭水化物食のHbA1cに対する効果に関するエビデンスは限られています。 今回は、糖尿病予備軍および潜在的な糖尿病罹患者(血糖値は高いが治療をしていない人)に対する低炭水化物食の影響を調べた研究を紹介します。 結論からいうと、低炭水化物食は血糖値を下げる効果がありました。それでは詳しくみていきましょう。 目的 未治療のHbA1cが高い人のHbA1cの6ヶ月...

2023.01.08

天候と関節痛の関係:対策は運動

天気が悪いと関節痛が発生する、痛みが増すといった経験のある人は多いのではないでしょうか?私は関節痛はありませんが、頭痛が発生することがよくあります。 Harvard Health Publishingにこの質問に対する回答が載っていたので紹介します。 Q. 寒くて湿気の多い季節になると、関節が痛くなるような気がします。なぜでしょうか? A. 天気と関節痛の因果関係はまだ確認されていませんが、関節痛をきっかけに天気を予測する人は少なくありません。しかし、気象の変化による気圧の変化が、関節の痛みの引き金になると考えられています。気圧が低くなると、関節の周りの筋肉や腱などの組織が膨張し...

2022.12.28

祝祭日における体重増加について

国によって祝祭日は異なりますが、多くの祝祭日に共通しているのは、好きな食べ物の摂取量が増えるということです。アメリカの感謝祭、ドイツのクリスマス、日本のゴールデンウィークなどの祝日は、それらの国の体重増加にどのような影響を与えるのでしょうか。無線体重計を使用して体重パターンを測定することで、需要特性など従来の研究で見られたいくつかの制限を緩和し、休日の体重増加に関する有用な洞察を得ることができます。 方法 ワイヤレス体重計(WS50、Withings)から得られたデータを用いて、3カ国の2924人の参加者の毎日の体重変化を記録または補間し、2012年8月1日~2013年7月31...

2022.12.23

女性は冬がダイエットのチャンスです

動物は冬に入ると冬眠します。冬眠前にたくさん食べて太って、冬を乗り切るエネルギーを蓄えます。言い換えると冬はエネルギーをたくさん消費するといえます。 ヒトにおいてはどうでしょうか。興味深い研究があったので紹介します。 結論からいうと「特に女性は寒冷環境で脂肪の酸化が促進する」ことがわかりました。 寒冷ストレスは女性でより高いレベルの脂肪酸化を誘発した 目的 漸進運動テスト中の寒冷ストレス下における女性の脂肪酸化を調査し、脂肪酸化に対する寒冷ストレスの影響を男女間で比較すること。 方法 26名の健康な被験者が、異なる周囲温度のトレッドミルで最大酸素摂取量...

2022.12.09

ジャガイモのタンパク質摂取による筋タンパク質合成

タンパク質の摂取と身体活動は筋タンパク質合成を刺激し、骨格筋量の維持と増加に不可欠です。運動後の回復期に摂取したタンパク質は、筋タンパク質合成率をさらに増大させ、より長時間の運動トレーニングに対する骨格筋の適応反応をサポートします。 安静時および運動回復時の食後の筋タンパク質合成率は、異なるタンパク質源を摂取した場合、大きく異なることが報告されています。タンパク質源の同化特性は、タンパク質消化およびアミノ酸(AA)吸収速度、ならびにタンパク質中のAA組成によって大きく左右されます。※同化特性=筋肉が大きくなろうとする反応 しかし、動物性タンパク質と植物性タンパク質の同化特性を比較し...

2022.12.03

冬の料理はダイエットに向いている

12月になりました。2022年もあと1ヶ月ということであっという間ですね。 12月からのイベントとして、忘年会、クリスマス、大晦日、そして年始の休暇、新年会と続くわけですが、ここで体重が増加してしまう人が沢山います。 とはいえよく考えてみれば、12月と1月で計約60日間あります。忘年会が職場と友達で2回、クリスマス、大晦日、三が日、新年会が職場と友達で2回、と仮定すると合計で9回の飲みの機会があると推定できます。 多少の機会増減があるにせよ、例えば「20回の機会があります」というケースは稀でしょう。 9回とすると60日分の9なので、それ以外の51日を健康的な食事で過ごす...

2022.11.30

身体活動(運動)とCOVID-19の感染、重症度、死亡のリスク

COVID-19の原因物質であるSARS-CoV-2は、2019年に武漢(中国・湖北省)で検出されました。2020年3月にWHOによってパンデミックと宣言されたCOVID-19は、壊滅的な人的・経済的影響をもたらしています。 世界中の研究者は、臨床的判断や公衆衛生戦略に役立てるため、ウイルス関連の罹患、入院、死亡の要因を理解する研究を継続的に行っています。年齢、性別、人種などの個人的な特徴や、糖尿病、肥満、高血圧、呼吸器疾患などの健康状態など、病気の重症度を高める危険因子はすでにいくつか確認されています。 定期的な身体活動が、前述のCOVID-19の重症度上昇の危険因子の発生率を下...

2022.11.22

認知症発症リスク軽減のための運動量。運動様式、時間、強度

認知症は単一の病気ではなく、症状群(症候群)です。症状としては、記憶力の低下があり、言語、空間感覚、計算、判断、抽象的思考、注意などの機能の低下など、他の認知機能にも影響を及ぼすことがあります。また、破壊的行動、人格変化、妄想や幻覚などの症状が現れることもあり、これらは対人関係や労働能力に影響を与えるほど深刻なものです。身体活動・運動と認知症の関連性は強いです。 内閣府の発表によると、日本における認知症患者数は、2025年には約700万人、5人に1人になると見込まれています。 認知症が発症すると自身だけではなく、周囲の人にも大きな影響を及ぼすため、できる限りの予防に努めることが大事...

2022.11.21

運動後ストレッチの回復への有効性(効果は無い)

みなさん、静的ストレッチ(いわゆる筋肉を伸ばして保持するストレッチ)は何の為に行いますか? ほとんどの方が、柔軟性を向上させたい、疲労を軽減したい、といった理由で実施しているのではないでしょうか。 果たして“ストレッチ”は本当に効果があるのか?まずはこの前提を疑ってかからなければなりません。多くの人がストレッチに対して『効果がある』と言い伝えを鵜呑みして実施しているように感じます。 ちなみに私はずいぶん前からお客様に対して、『ストレッチは不要です。時間の無駄です。』と説明しています。もちろん以下のような研究の結果を交えつつ、分かりやすく説明しています。 今回はそんな静的...

2022.11.20

運動と大腸がん:運動の安全性、実行可能性、有効性

大腸がんは世界で3番目に多いがんであり、2018年には約180万人が新たに診断されています。 診断時年齢の中央値は女性で69歳、男性で66歳であり、過去20年間、スクリーニング、診断、治療の改善により、生存率は最大で30%向上しています。現在、5 年相対生存率は 65%であり、大腸がん生存者は、女性・男性ともにがん生存者の中で最大のグループとなっています。 大腸がんの治療には、手術、放射線療法、化学療法、標的治療(単独または併用)があります。 診断された患者の大半(最大98%)が手術を受け、少なくとも3分の1が化学療法および/または放射線療法を受けます。手術は合併症のリスクが...

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