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2022.11.20

運動と大腸がん:運動の安全性、実行可能性、有効性

大腸がんは世界で3番目に多いがんであり、2018年には約180万人が新たに診断されています。 診断時年齢の中央値は女性で69歳、男性で66歳であり、過去20年間、スクリーニング、診断、治療の改善により、生存率は最大で30%向上しています。現在、5 年相対生存率は 65%であり、大腸がん生存者は、女性・男性ともにがん生存者の中で最大のグループとなっています。 大腸がんの治療には、手術、放射線療法、化学療法、標的治療(単独または併用)があります。 診断された患者の大半(最大98%)が手術を受け、少なくとも3分の1が化学療法および/または放射線療法を受けます。手術は合併症のリスクが...

2022.11.14

ヨガと安静または理学療法との比較–腰痛とQOLに対して

ヨガは瞑想やエクササイズを混合させたものです。 ヨガの効果を調べてみると、肩こり・腰痛・むくみ・身体の引き締め・便秘など、各主訴に対してのアプローチがあり、それを改善すると言った記事(例えばコチラ)が沢山見られます。また、『インナーマッスルを中心に鍛えられ、ムキムキにならずに、しなやかな筋肉を養うことができる』などと謳われています。 ネットでよく見るヨガの効果に関する記事には、ホンマかいな?と思うような内容が書かれていることがあります。少なくとも身体の引き締め効果は怪しい…大体、「インナーマッスル」というものは医学的には存在しません。このワードはよくわかっていない人を信じ込ませるの...

2022.11.10

身体活動および座りがちな行動に関するWHO2020年ガイドライン

WHOによる身体活動と座りがちな行動に関する2020年のガイドラインを簡単にまとめて紹介します。 どの集団においても、身体活動を全くしないよりは、いく らかの身体活動をしたほうがよいのは明白です。現在、これらの推奨事項を満たしていない個人は、いくらかの身体活動を行うことで、健康に利益をもたらすでしょう。少量の身体活動から始め、時間をかけて徐々に頻度、強度、時間を増やしていくべきです。 座りがちな生活による潜在的な害は、身体活動の量と強度を徐々に増加させることで管理できるでしょう。 子供と青年(5~17歳)に対する勧告 エビデンスによると、子どもや青少年の身体活動は、身体的、精神...

2022.10.31

肉体労働による身体活動は健康上のリスクがある

身体活動は、健康結果を決定する最も重要な要因のひとつです。多くの筋骨格系の問題に対して、身体活動と運動がより良い健康への道であることは、よく知られ ています。身体活動は、強度、頻度、活動の種類によって異なりますが、幅広い身体的・心理的利益をもたらします。 ほとんどの国際的なガイドラインでは、成人は少なくとも150分/週の中強度の身体活動に参加することを推奨しています。 余暇身体活動(LTPA)とは、人が自由な時間に行う活動を表す言葉です。ジムでのトレーニングやボルダリング、登山やサイクリングなど屋内外でのアクテビティがそれにあたります。 職業性身体活動(OPA)とは、仕事に関...

2022.10.30

アルコールの悪影響-心臓血管系・肝臓・傷害-

最近、すっかり冷え込んできて、冬がそこまでやってきていると感じる季節になりました。これから年末年始まで飲み会が増えるシーズンです。 先日、国税庁が「若年層の需要喚起に向けた新たなサービスやプロモーション手法 」などを募集するビジネスコンテスト~サケビバ!~を発表し、日本国内のみならず、海外を含めて(悪い意味で)話題を集めました。ビジネスコンテストのPDFはコチラ アルコールは人体にとって悪影響が多いのは周知の事実ですが、国が国民に対して飲酒を推奨するのは驚きでした。なぜ厚生労働省は国税庁に対して抗議しないのでしょうねぇ?笑 この辺の政治的な話はさておき、今回はアルコールの悪影...

2022.10.27

在宅ワーク&出社:身体活動と健康維持のための機会と課題

ハイブリッドワークは、一般的に従来のオフィスと自宅での仕事を組み合わせたものと考えられており、新しい現象ではありません。 COVID-19以前の10年間は、リモートワークを可能にするテクノロジーがあったにもかかわらず、このワークモデルの使用は比較的まれで、米国では労働者の約15%でした。日本ではもっと少なかったと思われます。 しかし、COVID-19大流行が変化を促し、今ではハイブリッドワークが多くの人にとって一般的な方法となりました。オーストラリアでは、2020年3月のCOVID-19規制前(24%)と比較して、2022年4月には週に1、2回在宅勤務する人が約2倍に増えました。 ...

2022.10.25

ウェアラブルデバイスは肥満の改善に有効

ウェアラブルデバイスとは腕時計型の活動量計です。代表的なのはfitbitやApple Watchでしょうか。 古典的なのは万歩計や加速度計(活動量計)です。 こういった一般向けの機器を使用することは肥満の改善に役立つのかをみていきたいと思います。 目的:太りすぎ/肥満および慢性合併症を有する個人の体重および体格指数(BMI)の減少について,健康ウェアラブルを用いた身体活動(PA)促進介入戦略の相互およびコントロールに対する比較効果を分析する。 デザイン:系統的レビューおよびネットワークメタ解析 6つの異なる介入戦略(比較対象)の効果を直接・間接的に比較した。6...

2022.10.19

女子サッカーにおける傷害発生率

その年の“世界最高のフットボーラー”に贈られる、バロンドールの授賞式が現地10月17日にパリで開催されました。 男子はレアル・マドリーに所属するフランス代表FWカリム・ベンゼマが34歳にして初受賞を果たしました。 女子はバルセロナのアレクシア・プテジャスが、2年連続となる女子バロンドールを受賞しました。 世界で3億人くらいのプレイ人口を誇るサッカーですが、スポーツですから怪我はつきものです。特に女子は男子に比べ傷害発生が多くなる傾向にあります。 今回は、女子サッカー選手における傷害発生率を見ていきたいと思います。 目的:18歳以上、女子サッカー(アマチュアクラブ、エリ...

2022.10.13

脊椎すべり症/分離症のための体幹トレーニング

今回は沢山の人が悩んでいるであろう「腰痛」についてです。 脊椎すべり症は椎骨が前後にずれている状態です。分離症に伴って起こるすべり症(分離すべり症)と、分離に伴わないもの(変性すべり症)とに分けられます。 分離すべり症は椎間関節の分離によって脊椎の安定性が悪くなり、さらに成長期では椎体が変形したり、壮年期では椎間板が変性するなどして発症します。分離に伴わないすべり症は、椎間板の変性によるものが多く、腰部脊柱管狭窄症の原因となっています。 脊椎分離症は椎間関節の基部の骨が分離する状態です。 原因として、腰の曲げ伸ばしや捻り運動を繰り返すことで徐々に骨の分離が起こる...

2022.10.12

心肺機能、筋骨格系の発達と維持のための運動量と質-まとめ

フィットネスがもたらす健康効果とは? 定期的な身体活動や運動は、男女を問わず、身体的・精神的な健康上の多くの利点と関連しています。身体活動を定期的に行うことで全死亡が遅延します。これは、座りがちな生活や身体活動が不十分な生活から推奨身体活動レベルを達成する生活に変えることで身体活動を増やした場合にも当てはまります。 運動と身体活動は、冠動脈性心疾患(CHD)、脳卒中、2型糖尿病、一部のがん(大腸がんや乳がんなど)の発症リスクを低下させます。 運動と身体活動は、血圧を下げ、リポタンパク質プロファイル、CRP、その他のCHDバイオマーカーを改善し、インスリン感受性を高め、体重管理に重...

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