【脳科学】皮肉なリバウンド効果ー抑制されると意識する
減量をしようとする際に、「○○は食べてはいけません」とトレーナーや医師・栄養士(あるいはインターネット記事)などから指示を受けるケースがあると思います。
しかし、このアプローチはほとんどの場合で上手くいきません。「○○はダメ」と抑制されると脳みそは『○○について強く意識する』ように出来ているのです。
これを検証したのが以下の研究です。【シロクマ実験】と言われている有名なものです。
思考抑制の矛盾効果
最初の実験では、5分間の意識の流れを言語化する被験者に、白熊を思い浮かべないように言及し、思い浮かべた場合はベルを鳴らすように指示した。言及とベルの音によって示されるように、被験者は指示通りに思考を抑制することができなかった。
この抑制課題の後、5分間白熊のことを考えるように指示されると、これらの被験者は、最初から白熊のことを考えるように指示された被験者よりも有意に多くの白熊に関する思考を示した。
これらの観察から、思考抑制の試みは、自己抑制戦略として逆説的(リバウンド)な効果をもたらし、おそらくは、それが向けられている強迫観念や先入観そのものを生み出すことさえあることが示唆される。
第二の実験では、これらの所見を再現し、抑制の際に注意逸らしとして使う特定の思考を与えられた被験者は、抑制される思考に後で夢中になる傾向が少ないことを示した。
人間の脳では、こうした反応をするのが当たり前なので、ダイエットする人がリバウンドしてしまうのも頷けます。
私は、○○を食べたらダメです、といったアプローチは殆どしません。食べたければ食べたらいい、という感じでアドバイスしています。その代わり、代替案は事前に提示しておきます。好きだけど控えた方が良いものはどんなものなのか?減量に対してネガティブ度がマシな代替できる食材は何なのか?を提示するのです。あるいは好きなモノ食べたらいいけど、いつもより量を20~30%減らしてみる事を試してみてはどうか?などです。
これまで指導したお客様は案外これで順調に減量できています。
アドバイスする側としては、お客様の行動をコントロールするにはどうしたらいいのか?を常に考えておきたいものですね。こうしたことは、バーバルコマンドという技術に近いと思います。
バーバルコマンドとは、例えばAという結果を導きたいため、キーワードa /b /c のいずれかを伝える。そうすると人によってはaで刺さる人もいるし、cが刺さる人もいる、といった感じです。
人によってイメージがしやすい言い回しは異なるので、アドバイスする側は相手がピンとくる言い回しで伝えることで、より良い行動になるか、イマイチ上手くいかない行動になるかが変わってくるのです。
表現方法など、まだまだ色んなことを勉強していかないといけないなと考えさせられます。
参考文献
Paradoxical effects of thought suppression
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