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  • 2023.05.11

高齢者におけるタンパク質源と筋肉の健康


高齢者のサルコペニア予防と筋骨格系の健康維持には、1日1.2g/kg体重までの高タンパク質の食事が有効であることが研究により示されています。しかし、食欲が減退し、健康状態に問題がある高齢者にとって、1日あたりの食事性タンパク質の摂取量を増やすことは困難です。このような制限による老化した筋肉への悪影響は、高品質のタンパク質源の摂取やサプリメントによって回避することができると考えられます。

最近の文献では、ホエイと大豆タンパク質が最も一般的な高品質タンパク質として使用されてきました。しかし、植物由来の食事性タンパク質の選択肢を増やしたいという消費者の要望が高まってきています。例えば、エンドウ豆のタンパク質は、筋肉の健康に対する長期的な影響に関する研究がほとんどないにもかかわらず、消費者の間で急速に人気を集めています。

結論からいうと、ホエイなどの乳清タンパク質や魚肉などの動物性タンパク質で十分な筋肥大効果を得られることが分かっているため、新しいタンパク質源(植物由来やコオロギ等)は導入に慎重になるべきです。新しいタンパク質源の推進は政治や宗教的な理由と考えられます。

ロイシンをいかに摂るかがポイント

高齢者や臨床的に問題のある人は、サルコペニアやタンパク質栄養失調のリスクを抱えています。適切なタンパク質(体重1㎏あたり1.2gのタンパク質/日)を様々な供給源から摂取し、十分なロイシンを補給するような栄養アプローチは、これらのリスクを相殺することができます。

慢性的にタンパク質の摂取量が少ない高齢者では、1日の不十分なタンパク質摂取量を補うために、タンパク質またはロイシンの補給が必要な場合があります。

市場には、ホエイ、大豆、エンドウ豆ベースのタンパク質など、タンパク質の調達先が異なるさまざまなタンパク質飲料があります。

エンドウ豆のタンパク質とは異なり、ホエイと大豆ベースのタンパク質は、過去10年間、広範囲に研究され、成人における除脂肪体重(≒筋肉量)と筋力トレーニングに反応する強度に差がないことが示されています。一方で、エンドウ豆タンパク質の効果を評価するために行われた研究の数が限られていることを強調しておきたいと思います。

ロイシンなどの必須アミノ酸は、筋タンパク質の同化(合成)作用、筋肉の大きさ、機能を改善するのに重要であり、これは高齢者の集団に必要です。

食事全体の中で、総タンパク質摂取量とタンパク質源を見直すことが重要です。

まとめ

栄養学的リスクのある高齢者に合わせたタンパク質の推奨を行うことは、サルコペニアの発症を遅らせ、その後、より良いQOLを獲得することにつながるかもしれません。現在の文献では、特に栄養失調に陥りやすい集団では、食事性タンパク質やロイシンの補給により、毎日十分な総タンパク質を摂取するよう推奨することを目標としています。

現在、世界的にもトレンドになっている、エンドウ豆、トウモロコシ、ジャガイモ、麻、米タンパク質などの植物性タンパク質や、最近話題のコオロギタンパク質などは研究が不十分で、一方、ホエイなどの乳清タンパク質や魚肉などの動物性タンパク質で十分な筋肥大効果を得られることが分かっているため、新しいタンパク質源は導入に慎重になるべきだと考えています。


参考文献

Protein Source and Muscle Health in Older Adults: A Literature Review

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