60~90歳における座位から立位までの能力と自由生活能力
自立した生活を送るためには、自由な生活環境の中で様々な活動ができなければなりません。
典型的な活動の多くは、歩行や座位から立位(STS)、立位から座位への移行を伴うものです。詳しく言えば、自立生活には階段昇降、家事、ベッドからの起き上がりなど、筋力を必要とする動作が含まれ、これらはすべて良好な下肢身体能力を必要とします。しかし、身体能力や相対的な下肢筋力は、中年期以降、加齢とともに低下し、その低下は自由生活活動の質を損なう可能性があります。
今回は、高齢者の座位→立位の能力と自由生活能力の差を調査した研究を紹介します。
結論からいうと、座位→立位の能力と自由行動能力は関連していることがわかりました。将来、旅行や趣味などで十分に身体を動かしたいなら、椅子から立ち上がる能力(すなわち下半身の筋力)をトレーニングで養っておかなければなりません。
目的:座位から立位(STS)テストは、下肢機能能力の臨床評価として一般的に用いられているが、自由生活能力との関連は研究されていない。そこで、加速度計を用いて、検査室ベースのSTS能力と自由生活STS能力との関連を検討した。結果は年齢と機能的能力群によって層別化した。
方法:この横断研究は、3つの独立した研究による60~90歳の497人(63%が女性)を対象とした。大腿部に装着した3軸加速度計を用いて、実験室ベースの最大STS能力および3~7日間の連続モニタリングによる自由生活STS遷移における角速度を推定した。機能的能力は、短い身体能力バッテリーを用いて評価した。
結果:実験室ベースのSTS能力は、自由行動時の平均STS能力および最大STS能力と中等度の関連を示した(r = 0.52-0.65、P < 0.01)。角速度は、能力および自由生活STS変数の両方において、若年群と比較して高齢群で、また低機能群と高機能群で低かった。全体として、角速度は、自由生活STSのパフォーマンスと比較して、能力で高かった。STS予備能(検査能力-自由行動下最大パフォーマンス)は、高齢群および低機能群と比較して、若年群および高機能群で大きかった。
結論:検査ベースのSTS能力と自由生活能力は関連することがわかった。しかし、能力と能力は互換性があるわけではなく、むしろ補完的な情報である。高齢で低機能の人は、若年で高機能の人と比較して、最大能力の高い割合で自由生活STS動作を行うようであった。従って、能力の低さが自由行動時のパフォーマンスを制限している。
まとめ
以上の結果から、高齢者にとって、最大能力、すなわち日常動作を高速で行う能力を大切にすることが有益である可能性が示唆されました。
高齢者でも筋力トレーニングによって身体能力や筋肉量等は向上するので、ジムでのトレーニングをお勧めします。内科外科疾患や整形外科的な問題がある方はパーソナルトレーニングを検討すると良いです。
40代を超えてくると筋肉量も減りやすくなってくるうえに、付き合いも増えるため脂肪は増えやすくなります。そのまま50代に突入すると何かしらの疾患を抱えるようになります。40、50代の方々も適切な食事と運動で身体機能を維持しておきましょう。
お勧めは最も時間効率の良い「筋トレ」です。
参考文献
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パーソナルトレーナー 井上大輔
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