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2023.07.25

2型糖尿病に効果的なのは筋トレか有酸素運動か

2型糖尿病の治療法として、レジスタンス運動(≒筋トレ)と有酸素運動の両方が推奨されています。しかし、時間の限られた人(特に現役世代)にとって、仕事や家事をしながら筋トレと有酸素運動を両方実施するというのは、現場を指導している身としてはなかなか難しい問題なのでは無いかと感じています。 有酸素運動は週5回、筋トレは週2〜3回というのが推奨事項とされていることが多いです。しかし、そもそもこれだけの量の運動ができる人は割と運動好きな部類に入るので、2型糖尿病になっていないと思われます。ほとんどの人は週末のうち1回か頑張って平日1〜2回を含めた、週2〜3回の運動の機会になることが多いでしょう。 ...

2023.07.24

変形性膝関節症・股関節症に対する運動療法と抗炎症薬の比較

変形性関節症(Osteoarthritis:OA)は、最も一般的な関節疾患であり、高齢者における痛みの主な原因です。膝や股関節のOAに伴う痛みの症状は、身体的障害や歩行障害を増加させ、全死因死亡のリスクを増加させます。 経口非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)およびパラセタモール(またはアセトアミノフェン:つまり解熱鎮痛薬)は、OAの疼痛をコントロールし身体機能を改善するために最も頻繁に処方される鎮痛薬であり、OA人口の10%~35%が経口NSAIDsまたはパラセタモールの使用を報告しています。しかしながら、経口NSAIDsおよびパラセタモールは、特に合併症を有する高齢者において、消化...

2023.07.22

米国の筋力強化活動ガイドライン遵守傾向と日本のこれから

蓄積された研究エビデンスにより、筋力強化活動(MSA:要は「筋トレ」)は、慢性疾患の管理や予防だけでなく、健康増進の基礎としても位置づけられています。筋力強化活動を行うことは、成人の身体機能やQOLを改善し、抑うつ症状や不安症状を軽減することが示されています。 コホート研究の最近のメタアナリシスでは、筋力強化活動は成人における心血管疾患、がん、糖尿病、肺がん、全死亡のリスクを10~17%低下させることと関連していました。実際、週に1回程度の筋力強化活動の実施でも、死亡リスクと強い逆相関があることが示されています。 このような理由から、公衆衛生のガイドラインでは、2007年以降、筋力...

2023.07.21

在宅勤務中の身体行動に関する洞察

新しい職場環境は、日常業務の中でますます重要になってきています。情報通信技術の急速な発展により、例えば在宅勤務のように、従来のオフィス以外の様々な物理的な場所からリモートで仕事をする機会が生まれました。しかし、毎日の通勤時間の節約2やワークライフバランスの向上1など、在宅勤務(WFH)にはいくつかの利点があるにもかかわらず、過去10年間では比較的まれな利用が観察されてきました。例えば2019年には、全世界の従業員のわずか2.9%しか、専らまたは主に在宅で仕事をしていませんでした。 2020年3月にCOVID-19のパンデミックが発生し、ウイルスの蔓延を抑えるための関連対策が講じられたこと...

2023.07.18

夕方の座位を筋トレで中断すると食後血糖応答が改善

建物の設計、交通手段、技術の進歩、職業上の要求、デジタルエンタテインメントの変化により、座ることが多くなり、ヒトは動くことが少なくなりました。 観察に基づくエビデンスによると、1日の総座位時間という形で座位行動のレベルが高いほど、身体活動レベルとは無関係に、2型糖尿病や心血管疾患の発症リスクが高まることが示されています。さらに、座位時間が最も少ない群と最も多い群を比較すると、全死因、心血管疾患、一部のがんによる死亡リスクがそれぞれ22%、15%、13%増加します。 日中の座位時間を中断することは、食後血糖(心代謝性疾患の危険因子)を低下させます。 健康な成人グループにおいて、...

2023.07.15

非職業的身体活動と心血管疾患、がんおよび死亡転帰のリスク

仕事以外での身体活動(=運動)習慣があると健康的になる事は良く知られています。傾向としては所得の高い人ほど運動習慣があるように見受けられます。 エグゼクティブはたとえ忙しくても朝早起きしてトレーニングを開始するか、早朝から仕事をしてひと段落ついた午前中にトレーニングをしたりしています。彼らは健康が最大の資本であることを知っており、その投資を怠りません。 今回は、運動が慢性疾患や死亡率にどのように影響を与えるかを調べた研究を紹介します。 結論からいうと、 活動レベルが高いほど死亡率が低く、心血管疾患やがんなどのイベントの発生率が低くなる 150分/週の中等度強度...

2023.07.14

食欲コントロールにより体重管理を試みる

栄養バランスの取れた食事とはどのようなものなのか、また最適な食事バランスはなぜ種間、個体間、経時的に変化するのでしょうか。これらの疑問に答えることは、生活史理論から進化生物学、採食理論、機能生態学、個体群生態学、群集生態学に至るまで、栄養学が直接関係する生物学の多くの分野に影響を与えます。応用的な利点としては、個体および個体群全体の食餌を最適化する可能性や、特定の健康または畜産目標を達成するための食餌介入を設計する可能性などがあります。 今回は食欲と栄養バランスの関係を調べた研究をざっと要約してみます。文章がちょっと長くなったので簡単にまとめると 人によって1食の目標タンパク質...

2023.07.10

手術前の高強度インターバルトレーニングと心肺フィットネスおよび術後転帰との関連性

心肺機能(CRF)は身体的および認知機能を改善し、心血管疾患、糖尿病、がんのリスク低下、術後合併症の減少、健康関連QOLの改善と関連しています。疾患のために酸素消費量の増加に対応できない患者は、合併症のリスクが高いことが分かっています。ほとんどの患者は心肺機能を増加させることが可能と考えられています。 また、虚弱は心肺機能の低値と関連しており、運動不足がその一因となっており、臨床的に広範かつ有害な影響を及ぼしています。 術前の限られた時間枠では、心肺機能を増加させるための的を絞ったアプローチが必要です。高強度インターバルトレーニング(HIIT)は、心肺機能を効率的に増加させる急速多...

2023.07.09

入院患者のウェアラブル活動量計を用いた介入~入院期間の短縮~

入院期間中は、患者の身体活動(PA)レベルが非常に低いことが特徴です。これは、患者が自立歩行が可能であるにもかかわらず、死亡率、機能低下、虚弱、障害の増加につながることが理解されています。さらに、観察研究では、入院中のPAレベルが高いほど、入院期間(LOS)が短く、再入院率が低下することが示されています。 また、入院中の1日あたりわずか900歩という少量の運動量でも、入院後の機能低下を防ぐようです。入院中の低レベルの運動量と様々な有害転帰との関連から、入院中の患者の運動量に取り組むことが重要であることが示唆されています。 今回は、入院中にウェアラブル活動量計(アップルウォッチやガー...

2023.07.08

筋トレ:低負荷と高負荷の筋力および筋肥大の適応

現在のレジスタンス・トレーニングのガイドラインでは、筋力および筋肥大の適応を最大化するためには、1反復最大(RM)の70%を超える負荷が必要であるとしています。筋力の向上は1~5RMの負荷で最適であり、肥大の向上は6~12RMの負荷で最適であるとしています。これらの推奨は、最大筋力適応を獲得するためには、重い負荷が必要であるという信念に基づいています。 しかし、低負荷でのトレーニングもやり方を間違えなければ筋肥大の適応を引き出すことが可能ともいわれています。 今回は、低負荷RTプロトコルと高負荷RTプロトコルの筋力および筋肥大の変化を比較した研究を紹介します。 結論からいうと...

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